ヒューゴ・エキティケの移籍金に価値はあるのか? リバプールが注目するフランクフルトのスターのスタッツとベストポジション

コントリビューター
Kyle Bonn
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小鷹理人 Masato Odaka
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この夏、リバプールは大型補強としてフロリアン・ヴィルツを獲得し、2025-2026のプレミアリーグの優勝候補だけでなく、UEFAチャンピオンズリーグの優勝候補としても名乗りを上げている。

しかし、2025/26シーズンの開幕を前にしても、リバプールの補強はまだ終わっていないようだ。

複数の報道によると、リバプールは今シーズンに向けてワールドクラスのストライカーを獲得しようとしている。ダルウィン・ヌニェスの不振、ルイス・ディアスへの他クラブからの関心、そしてディオゴ・ジョッタの悲劇的な死去により、リバプールの前線は不安定な状況にある。

スポーティングニュースは、リバプールが本腰を入れている選手、アイントラハト・フランクフルトのヒューゴ・エキティケに関する移籍の動きについて詳しく報じている。

関連記事:リバプールはヴィルツをどう起用するのか?

ヒューゴ・エキティケの移籍金に価値はあるのか?

ESPNおよびThe Athleticの同時報道によると、リバプールはこの夏、アイントラハト・フランクフルト所属のストライカー、ヒューゴ・エキティケの獲得交渉を「進展させている」という。ドイツのクラブは、エキティケの契約解除条項に近い金額、つまり1億ユーロ(8650万ポンド/1億1590万ドル)を要求している。

報道によれば、フランクフルトはニューカッスル・ユナイテッドから提示された約6500万ポンド(8700万ドル/7520万ユーロ)のオファーを断っており、マグパイズ(ニューカッスルの愛称)はすでにアレクサンダー・イサクを売却する意思がないことをリバプールに伝えていた。

The Athleticによると、エキティケ本人は移籍に前向きで、特にニューカッスル行きよりもリバプールを好んでいるため、個人合意に問題はないとされている。

リバプールが8000万〜9000万ユーロの範囲で合意すれば、エキティケはフロリアン・ヴィルツに次ぐ、もしくはヌニェスと並ぶ高額移籍選手となる。その金額はギャンブルとも言えるが、イサクの要求額よりはずっと安い。

ヒューゴ・エキティケのスタッツ

エキティケはフランスのランスでプロキャリアをスタートさせ、2020年10月にデビュー。しかし、本格的にブレイクしたのは翌シーズンからだった。

2022年夏にはパリ・サンジェルマン(PSG)へ大型移籍。スター頼りの編成からチーム構築重視へとシフトするPSGの構想に期待されていたが、結果は芳しくなく、1年で放出されることに。翌シーズンにはアイントラハト・フランクフルトにローン移籍し、2024年にはPSGが支払った額を下回る価格で完全移籍が成立した。

他クラブにとっては不要だったエキティケだが、フランクフルトでは才能が開花。昨季は22ゴールに加え、アシストも二桁を記録。チームはヨーロッパリーグの準々決勝に進出し、トッテナムに敗れた。

シーズンクラブ試合数ゴール/アシスト出場時間(分)
2024/25フランクフルト4822 / 123,644
2023/24PSG / フランクフルト174 / 2780
2022/23PSG324 / 41,396
2021/22スタッド・ランス2611 / 41,373

ヒューゴ・エキティケの実力は本物か?

『ガーディアン』を含む複数の報道によれば、エキティケの契約解除条項は1億ユーロに設定されている。しかし、フランクフルトがそれを下回る金額での交渉に応じているということは、市場価値が9桁に達していないとうことだ。

リバプールは実際より高い金額を支払うことになるのか? 簡単に言えば「イエス」だ。というのも、選手の市場価値は最終的には買い手が支払う額で決まるからだ。仮にリバプールがエキティケに8000万ユーロ支払うなら、彼の市場価値はその額になる。

とはいえ、エキティケが本当にそれだけの価値を持つのかを見極めることは重要だ。ヴィルツやジェレミー・フリンポン、ミロシュ・ケルケズといった他の大型補強と並べて見れば、判断材料はさらに増える。

これには3つの視点がある。まずは昨季のスタッツであり、これはどの角度から見ても際立っている。次に、その数字をポジションやキャリアの文脈で理解すること。そして最後に、実際のプレー映像を確認することだ。

まずはスタッツから見ていく。エキティケはゴールとアシストだけでなく、ペナルティエリア付近でのプレーにおいて大きな影響を与えていた。FBRefによれば、彼は欧州のフォワードの中で「推進的ドリブル(96パーセンタイル)」「ドリブル成功数(96)」「シュート創出アクション(94)」「ペナルティエリア内タッチ数(94)」「受けた前進パス数(91)」で上位に入っている。つまり、自らフィニッシュに絡むだけでなく、味方のチャンスも作っていることがわかる。

しかし、これらは文脈を踏まえて評価する必要がある。彼はこれまでフランスとドイツのクラブでしかプレーしておらず、両国のリーグは競争の偏りが大きく、プレミアリーグへの適応には疑問が残る。また、彼が本当に活躍したシーズンは昨季のみであり、PSGでは不発だったほか、フランクフルトでも1年目はオマル・マルムーシュやランダル・コロ・ムアニの控えだった。

要するに、リバプールは1シーズンの輝きに賭けているということだ。しかし、23歳になったばかりのエキティケが今後さらに成長すると見込んでいるわけで、「一発屋」ではないという信頼に基づいた動きとも言える。

実際に彼のプレーを見ると、その信頼は納得できる。フィニッシャーとしてだけでなく、ドリブラーとしても効果的であり、長い脚を活かした独特の走り方は相手DFを翻弄する。ある分析動画では「ビクター・ウェンバンヤマ的な雰囲気」とまで評されている。

ヒューゴ・エキティケのベストポジションは?

エキティケは多彩な能力を持っているため、最適なポジションに関して議論がある。現代のクラブにとって、攻撃的な選手が複数のポジションをこなせることはプラスに捉えられる。

FBRefの類似選手分析を見ると、その理由がよく分かる。エキティケはウスマン・デンベレやマルムーシュといった前線で流動的に起用される選手に似ているという結果が出ている。ちなみにマルムーシュは昨季までフランクフルトでエキティケのチームメイトだったが、現在はマンチェスター・シティへ移籍している。

とはいえ、最終的にはエキティケはセンターフォワード(9番)として最も効果を発揮する。とくに、コーディ・ガクポやディアスが自由な動きで活躍していたように、リバプールのような流動的な攻撃システムでは最適な存在だ。

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