リヴァプールはヴィルツをどう起用するのか? スロット監督の3つの戦術オプション

Dom Farrell

小鷹理人 Masato Odaka

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2024-2025シーズン開幕前、リヴァプールが新監督アルネ・スロットをサポートするために移籍市場で積極的な動きを見せていないことに対し、多くの懸念の声があがっていた。

しかし、こうした懸念は杞憂に終わり、リヴァプールは4試合を残してプレミアリーグ制覇を果たした。そして、彼らは決して現状に満足しているわけではない。

5月24日(金)、移籍専門ジャーナリストのサシャ・タヴォリエリと『The Athletic』のデイビッド・オーンステインが、リヴァプールがバイエルン・ミュンヘンに先駆けて、バイエル・レバークーゼンのスーパースター、フロリアン・ヴィルツの獲得に大きく前進していると報じた。

数週間にわたる交渉の末、この移籍は6月20日に正式決定。追加条項を含めた総額は約1億1600万ポンド(約1億3730万ユーロ/約1億5790万ドル)と報じられている。

ヴィルツはリヴァプール史上最高額の補強であり、サッカー界全体でも史上4番目に高額な移籍となる(ポテンシャル含めた総額で換算)。

これは強い補強意志の表れだ。特に、彼のレバークーゼンの同僚であるジェレミー・フリンポンが、すでにトレント・アレクサンダー=アーノルドの後継者としてリヴァプールに加わっていることを考えると、なおさらだ。

しかし、今季プレミアリーグで最も優れたチームであるリヴァプールが、ヴィルツを加えることでどのような布陣を形成するのか?

考えられるオプションを見てみよう。

フロリアン・ヴィルツをどう起用するのか?

スロット監督には、ヴィルツの力を最大限に引き出すための選択肢がいくつかある。

ナンバー10

最も自然な起用法は、スロット監督が好む4-2-3-1の「トップ下(No.10)」だ。22歳のヴィルツは、得点力のある攻撃的MFとしての地位を確立してきた。

その点で、彼は今季プレミアリーグで6ゴール6アシストを記録したドミニク・ソボスライのアップグレードと見なすことができる。ソボスライの成績は決して悪くないが、モハメド・サラーに得点の負担が偏っていた要因の一つでもある。

もっとも、ソボスライは別の面でもスロットにとって欠かせない存在だ。ハンガリー代表の彼の無尽蔵のスタミナは、守備面でも非常に貢献している。したがって、単純にヴィルツとの「入れ替え」と捉えるのではなく、スロット監督が別の道を模索する可能性もある。

Liverpool Wirtz 10

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左サイドからの仕掛け

レバークーゼンでの輝かしい時代、ヴィルツは世界最高クラスのトップ下として台頭したが、シャビ・アロンソ監督の3-4-2-1では中央に固定されたアタッカーではなかった。そのため、サイドからのプレーでしばしば違いを生み出していた。

そのため、リヴァプールでは左サイドの攻撃陣として起用される可能性も考えられる。ソボスライは中央に残り、サラーと並ぶ得点源として機能し続けるという形だ。スロット監督は攻撃的SBを好むため、ヴィルツがタッチライン際に張り付く必要はない。

ただし、この構想はルイス・ディアスやコーディ・ガクポにとって歓迎される話ではないだろう。スロットが今の主力たちを満足させるためには、さらなる工夫が求められる。

Liverpool Wirtz 4-2-3-1 left

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ダブル・フォルスナイン

スロット監督のプレミアリーグ制覇は、「安定したCF不在」の状況で成し遂げられた。ダルウィン・ヌニェスは依然として不安定で、今夏の移籍も噂されている。一方で、ディオゴ・ジョタはコンディションが安定しない。

2月に行われたマンチェスター・シティ戦(2-0勝利)では、スロットが4-2-2-2の布陣を採用し、ソボスライとカーティス・ジョーンズを「ダブル・フォルスナイン」として起用。これが見事に機能した。

このフォーメーションにヴィルツを加えることで、さらなる可能性が広がる。ガクポを左に配置すれば、柔軟なポジションローテーションも可能だ。理論上、この布陣は非常に有望に見える。

 

Liverpool Wirtz 4-2-2-2.

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原文:How will Liverpool line up with Florian Wirtz? Three tactical options for Arne Slot with £116m Germany superstar
翻訳:小鷹理人(スポーティングニュース日本版)

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Dom Farrell

Dom is the senior content producer for Sporting News UK. He previously worked as fan brands editor for Manchester City at Reach Plc. Prior to that, he built more than a decade of experience in the sports journalism industry, primarily for the Stats Perform and Press Association news agencies. Dom has covered major football events on location, including the entirety of Euro 2016 and the 2018 World Cup in Paris and St Petersburg respectively, along with numerous high-profile Premier League, Champions League and England international matches. Cricket and boxing are his other major sporting passions and he has covered the likes of Anthony Joshua, Tyson Fury, Wladimir Klitschko, Gennadiy Golovkin and Vasyl Lomachenko live from ringside.

小鷹理人 Masato Odaka

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。埼玉県出身。南アフリカW杯を機にサッカーに魅了され、欧州サッカーを中心に幅広く観戦。大学・大学院でスポーツマネジメントを専攻し、理論と実践の両面からスポーツを追求。フットサル部では全国大会出場経験あり。趣味はスポーツ観戦でサッカー、格闘技、MLBなど幅広く観戦。NBAは現在勉強中。