この夏の移籍市場は、ニューカッスルのファンにとって感情のジェットコースターとなっている。
報道によると、エースストライカーのアレクサンダー・イサクが「他の選択肢を探りたい」という意向をクラブに伝えたとされており、リヴァプールが同選手との間で口頭合意に至ったとも報じられている。
同時に、ニューカッスルはRBライプツィヒ所属で高く評価されているフォワード、ベンジャミン・シェシュコの獲得を巡ってマンチェスター・ユナイテッドと競り合ってきたが、新たな報道では、シェシュコがオールド・トラフォード行きを優先している可能性が示されている。
🚨 Manchester United prioritising Benjamin Sesko if striker signed this summer. 22yo now preferred option for #MUFC + informal contact made with RB Leipzig. Slovenia int’l also remains top target for Newcastle United: #NUFC pursuit continues @TheAthleticFC https://t.co/nwxt5qQIYj
— David Ornstein (@David_Ornstein) July 30, 2025
しかし、この「シェシュコ獲得失敗」という一見マイナスに思える展開が、エディ・ハウとトゥーン・アーミーにとって、実は“思わぬ幸運”となるかもしれない。
市場に即戦力級のトップストライカーが乏しい中で、シェシュコを逃したことが、ニューカッスルにとって最も貴重な資産であるイサクを引き留める覚悟を強める要因になる可能性がある。
クラブは一貫してイサクを売却する意思がないことを示してきた。
エディ・ハウ監督も、イサクが2028年まで契約を結んでいるニューカッスルの選手であることを強調しており、クラブ側は交渉において有利な立場にある。
リヴァプールは1億2500万~1億5000万ポンドのオファーを準備しているとされているが、今夏のPSR(財務健全性規則)上の状況改善により、ニューカッスルのオーナーは急いで売却する必要には迫られていない。
クラブがシェシュコ獲得に動いたのは、イサクの退団に備えた“先回りの動き”だったと見られている。
しかし今夏のストライカー市場は競争が激しく、ニューカッスルにとっても思うようにいかない展開が続いている。
ターゲットの一部であるリアム・デラップやウーゴ・エキティケは他クラブに移籍し、シェシュコに関してもマンチェスター・ユナイテッドの積極的な動きによって状況は複雑化している。
もしシェシュコが最終的にユナイテッド行きを選んだ場合、イサクの“代役”となるような同等レベルのストライカー獲得は、より難しくなる。
フラムのロドリゴ・ムニスやブレントフォードのヨアネ・ウィサといった名前も候補に挙がっているが、イサクやシェシュコのような格や将来性は持ち合わせていない。
この手の選手はむしろ、今夏フリーで退団したカラム・ウィルソンの代役候補と見なされている。
こうした現実を前にすれば、「イサクをキープする」という戦略的判断こそが、最も現実的で有益な選択肢となる。

イサクは、昨季プレミアリーグで21得点を挙げた実績ある得点源だ。
そのスピード、動き出し、決定力は、ニューカッスルがチャンピオンズリーグで戦い、プレミアリーグ上位を目指す上で不可欠な要素だ。
クラブは当初、記録的な移籍金を得て再投資する選択肢も考えていたかもしれないが、代わりを見つける難しさを前に、イサクを手放さないという判断が現実味を帯びてきた。
この状況は、クラブ上層部に対して、イサクとの契約を再交渉し、条件を改善して慰留を図るよう圧力をかけることになるかもしれない。
市場に代わりとなる有力な選手が存在しないのであれば、フィットしてモチベーションも高いイサクをキープすることこそが、今夏最大の“補強”となるだろう。
当初は打撃に見えたこの移籍失敗が、結果としてニューカッスルにとって最も必要な選手を引き留めることにつながる可能性があるのだ。
原文:A blessing in disguise? Why missing out on Benjamin Sesko could benefit Newcastle United
翻訳:小鷹理人(スポーティングニュース日本版)
関連記事
- プレミアリーグ最新ニュース
- リヴァプール新加入ヴィルツが初ゴール!
- 2025年夏のプレミアリーグ主な移籍情報まとめ|ビッグクラブの新加入・退団選手一覧
- リバプールがルイス・ディアスの放出へ、バイエルンが条件を受け入れる