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サマーリーグ参戦中の河村勇輝に賛辞 「マジック・ジョンソンのようなパス」「ブルズで最も楽しくて目が離せない」

コントリビューター
NBA.com
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坂東実藍 Miran Bando
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NBA Entertainment

NBAサマーリーグに参戦しているシカゴ・ブルズのベストプレイヤーはマタス・ブゼリスだ。最も将来有望なのは、新人ノア・エセンゲだ。

だがおそらく、最も楽しくて、途中出場で1試合平均3.5得点という数字にもかかわらず、目を離すことができない選手が、日本から来たぜんまいで動くおもちゃのような、5フィート8インチ(約173センチ)の河村勇輝だ。ブルズとGリーグのウィンディシティ・ブルズでプレイする2ウェイ契約を競うことになると見られる。

将来的な控えガードというより、バスケットボールにおけるより魅力的な存在のひとりとして、今季のウィンディシティ・ブルズに河村を加えるのは良いかもしれない。

小柄なポイントガードについて、ブゼリスは「コート全体でプレッシャーをかけ、あらゆることをしている。まさに身長よりハートが大事、だよ」と話した。

「彼はとてもハードなプレイをする。一緒にコートに立てるのは大きな意味がある。素晴らしい選手、素晴らしい人だよ」

そしてとにかく、その素晴らしい速さやパス、エネルギーで見る者に息をのませる選手だ。

ブルズの選手が見せた中で最も目覚ましいパスを、河村は5本も決めた。それも、チームが敗れた7月13日(現地12日)の1試合だけで、だ。

ロックレン・オルブリックへのビハインド・ザ・バックのノールックパスは、マジック・ジョンソンのようだった。相手の股を抜くバウンスパスでオルブリックの得点をお膳立てした場面もある。マオジーニャ・ペレイラのスラムダンクにつなげたロブパスもあった。

ショットは良くなかったが、3ポイントショットは昨季、メンフィス・グリズリーズで本格的な出場時間があった2試合で10本中5本成功している。

日本の報道陣には主に日本語で話すが、河村は英語でも「素晴らしい組織だ。自分にとって良いチャンスになる」と話した。

「ファン、コーチ、チームメイトの期待に応えたい。本当に彼らのサポートに感謝している。でも、今日は期待に応じられなかった」

2試合でフィールドゴール10本中2本成功、7アシスト、8ターンオーバーという数字の河村は自分に厳しい。「もっと良くならなければいけない」と述べた。

「まだすべての試合から学んでいるところだ。自分にできることを証明しなければいけない。もっと向上しなければならない」

特にブルズにガードが多いことを考えれば、ロスター入りを果たすチャンスは多くない。

2ウェイ契約でNBA入りを目指し、サマーリーグではブルズでの機会を選んだ。ベンチから最初に登場する選手で、チームがひどい結果に終わったサマーリーグ初戦でも、ビリー・ドノバン三世ヘッドコーチは河村の良いところを見ようとしている。

同HCは「勇輝は我々を落ち着かせてくれた。抜く力とスピードがある」と話した。

「勇輝はいくつか良い瞬間があったよ。ペイント内を目指し、プレイメークして、味方にとって簡単なショットを生み出す起爆剤となったのは確かだ」

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注目や好奇心を誘ったうわべだけのものでもない。

このファンのお気に入りとなっているベビーフェイスには、中身があるのだ。

NBAの歴史には、マグジー・ボーグスやスパッド・ウェブ、アール・ボイキンス、キース・ジェニングス、チャーリー・クリスといったポイントガードたちがいる。

河村も彼らと同じように、NBAでやれる判断力や創造力、敏捷性を持つ。サイズは不利な点となるだろう。週末の2試合でも、フィジカルでやられた場面がいくつかあった。しかし、彼はずっとやり返したのだ。タフに、恐れることなく、自信をもって、大胆にプレイする。

こういったサマーリーグの試合は、選手たちが必死なこともあり、NBAのシーズン序盤よりもフィジカルになることが多い。だが、河村は誰にしてもひるまない。ディフェンダーたちにチャレンジし、とても素早くレーンに入っていた。相手のサイズにかかわらず、レーン深くに入ろうとした。ターンオーバーのいくつかは、練習時間の少なさから、味方の選手が準備できていなかったことによる。

ある意味で、河村にはケイトリン・クラークのような要素があるのだ。

クラークがWNBAのエリートレベルにあるのは確かだ。ベストプレイヤーではないが、もっと見たいと願うファンは少なくない。目が離せないのだ。そして河村もコートに立つとそういった感覚がある。Gリーグの試合を見に行ったら、おそらくNBAにより近い他のどんな有望株よりも、彼のプレイを見たいと思うだろう。Gリーグのベストプレイヤーとは、NBAのチームでひとつの役割をこなせる選手。そのため、より大きな才能を持つ選手が見過ごされることもしばしばだ。

24歳の河村は、バックコートから一気に飛び出していく。それはブルズが望むプレイスタイルだ。

ブルズにはあまりにガードが多く、ロスター入りを考えられないことは確かだ。しかし、この男にはもう一度よく見る価値がある。まばたきをしたら、見直さなければいけない。バスケットボールは「ゲーム」と言われる。彼は、まさに楽しくさせてくれる選手だ。

原文:Yuki Kawamura is stealing the show at Summer League by Sam Smith/Chicago Bulls.com(抄訳)
翻訳:坂東実藍