ニックス・ペイサーズ・サンダー・ウルブズをランク付け 優勝に最も近いのは? NBAプレイオフ2025

コントリビューター
Stephen Noh
コントリビューター
小野春稀 Haruki Ono
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カンファレンス・ファイナルに残った4チームは、NBAが新しい時代に入ったことの象徴だ。ペイサーズとウルブズは優勝経験なし。ニックスが最後に優勝したのは1973年。そしてサンダーは、彼らがまだシアトル・スーパーソニックスだった1979年以来優勝していない。

群雄割拠の時代へようこそ!王朝はスカイフックのように消え去り、過去7年間は連覇がなく、それぞれ新しい王者が誕生している。

残った4チーム全てに優勝する力はある。それぞれ不利な状況でも勝てることを証明してきたのだから、誰が最後に栄誉を掴んでもおかしくない。ラリー・オブライエン・トロフィーを掲げる可能性の高いチームを上から順にランキングしてみた。

カンファレンス決勝を戦う4チームで優勝する可能性が高いのは?

Shai Gilgeous-Alexander Jalen Williams Oklahoma City Thunder

NBA Entertainment

1位:オクラホマシティ・サンダー

優勝できる理由

 我々はプレーオフ第2ラウンドですでにNBAファイナルを見たのかもしれない。ナゲッツとサンダーのシリーズはそれほどにレベルが高かった。

ニコラ・ヨキッチはプレーオフの大半を通じてNBA最高の選手だった。サンダーはヨキッチに対して、予想し得ない答えを見つけた。196センチ、84キロのアレックス・カルーソは、ヨキッチとマッチアップするという最もタフな仕事を引き受けた。彼とアイザイア・ハーテンシュタインは、挫折した昨年のサンダーとの違いを生み出してきた。彼らは相手の心を折るようなサンダーのディフェンスを率いている。

シャイ・ギルジャス・アレクサンダーはオフェンス面で十分な働きを見せ、プレイオフに残っている全選手の中で平均29.0得点でトップ。しかし、サンダーは彼のワンマンチームではない。選手層が厚いため、さまざまなタイプのラインナップを組むことができ、先述のヨキッチへのディフェンスのように、相手がどのような戦略を試みても対応できる。彼らはレギュラーシーズンの強豪であり、プレイオフでもそれがまぐれではないことを証明したのだ。

優勝できない理由

ここまで勝ち進んできたチームは、大きな怪我を避けてきた。サンダーが最も健康的なチームのひとつであるのは、選手たちの出場時間を抑えているためでもある。ただこれからは、特定の選手の出場時間が増えることもあるだろう。カルーソのような怪我をしやすい選手もいる。

サンダーのオフェンスにも疑問符がつく。第7戦ではジェイレン・ウィリアムズが見事な活躍を見せたが、彼はまたプレイオフでのキャリアを通じてひどいパフォーマンスに終わったこともある。もし信頼できるセカンド・オプションが得られないなら、シェイに多くの負荷がのしかかり、相手に勝ち筋を与えてしまうだろう。

最後に、サンダーの素晴らしいディフェンスが最も効果的なのは、審判のコールが緩いときだ。彼らは非常にフィジカルで、ファウルの境界線ギリギリでプレイしている。もし、厳しい笛を吹く審判がいたら、彼らはディフェンスで頭を悩ませることになるだろう。

Tyrese Haliburton Indiana Pacers

NBA Entertainment

2位:インディアナ・ペイサーズ

優勝できる理由

 ペイサーズは今シーズンをすさまじい勢いで駆け抜けた。彼らは10勝15敗のスタートでつまずいた後、40勝17敗の成績で1年を終えた。

ペイサーズを優勝候補から除外するには相当の勇気が必要だ。ペイサーズは、疑いの声を黙らせ続けるだろう。

確かに、キャブスの主力選手の怪我はペイサーズの第2ラウンド突破に有利に働いた。しかし、それはペイサーズを十分に評価したことにはならない。彼らのディフェンスは昨シーズンから劇的に改善され、ハリバートンはクラッチプレーに次ぐクラッチプレーで、過大評価されているという声を黙らせている。

優勝できない理由

ペイサーズはスピードに頼るチーム。一方のニックスはリーグでも遅いペースでプレイしてきたチームだ。ニックスはこれまでのラウンドで試合の流れをコントロールしてきた。カンファレンス・ファイナルでもそれができれば、おそらく勝てるだろう。

またペイサーズからは、シリーズのベストプレイヤーが出ないかもしれない。ハリバートンはオールNBAのタレントだが、ニックスにはジェイレン・ブランソン、ウルブズにはアンソニー・エドワーズ、そしてサンダーにはMVP候補筆頭ののシャイ・ギルジャス・アレクサンダーがいる。

今季のペイサーズはディフェンスが格段に良くなったとはいえ、まだトップ10に入るチームではない。優勝にはディフェンスが必要なことは、歴史をみても明らかだ。

Jalen Brunson

NBA Entertainment

3位:ニックス

優勝できる理由

接戦になったとき、ニックスにはリーグ屈指のフィニッシャーがいる。ジェイレン・ブランソンはチームを背負い、何度も何度も結果を出してきた。

ニューヨークはレギュラーシーズンで見たよりも良いチームだった。トム・シボドーベンチの多くの選手を信頼していないが、デュース・マクブライドとミッチェル・ロビンソンには安定したプレイタイムを与えている。特にロビンソンは、レギュラーシーズンのほとんどを欠場したが、プレイオフでは試合の流れを変える活躍を見せている。

優勝できない理由

ニックスはピストンズとセルティックスに対しては好調に見えた。しかし、レギュラーシーズンではそうではなく、ほとんどの重要な対戦で競争力を維持できず、勝率50%以上のチームとの対戦は15勝23敗と苦しんだ。

また健康状態にも常に疑問符がつく。ブランソンは、プレイオフを通して足首の痛みと付き合ってきた。チームのタフガイ、ジョシュ・ハートもフロアでうずくまり、出血した。ニックスの先発5人全員が、イースタン・カンファレンスのプレイオフの出場時間でトップ5に入っている。主力選手の誰一人として欠場する余裕はなく、ニックスの運命は彼ら5人とともにあるのだ。

4位:ミネソタ・ティンバーウルブズ

優勝できる理由

"Defense wins championships" ウルブズは今季もエリートレベルのディフェンスを作り上げた。ルディ・ゴベアのディフェンスが衰えたというのは間違っていた。彼は優れたリムプロテクターであり、ジェイデン・マクダニエルズは攻守で素晴らしいプレイを見せている。

アンソニー・エドワーズはウルブズが出場したすべてのシリーズでベストプレーヤーだった。レギュラーシーズンではリーグ屈指の3ポイントシューターに成長したが、プレイオフでは大胆不敵なリムアタッカーとして原点回帰。彼のパスもまたキャリアで最高のものだ。

最も重要なのは、ウルブズには素晴らしいベンチがいるということだ。NBAでは弱点がないことが重要視されるようになってきているが、彼らにはその弱点がない。ナズ・リードはプレーオフで最高の控えビッグマンだ。ドンテ・ディヴィンチェンゾは常に大きな得点源となる。ニキール・アレクサンダー・ウォーカーは、攻守で活躍するXファクターだ。

優勝できない理由

ウルブズをこのリストの最下位にするのは失礼だ。彼らはこの中で最悪のチームではない。しかし、彼らはサンダーと対戦している。

疲弊しきったウォリアーズ相手にオフェンスで苦労したウルブズにとって、サンダーのディフェンスは悪夢のようであろう。

エドワーズはこのシリーズで多くのことをこなさなければならない。彼はキャリアで最も厳しい試練に直面するだろう。サンダーには、ルー・ドート、カルーソ、ケイソン・ウォレス、ジェイレン・ウィリアムズ、シェイなど、彼を苦しめるペリメーター・ディフェンダーがたくさんいる。ただ彼のパスもこのプレーオフで向上している。まさしくプレッシャーのかかる強度の高い試合で、エドワーズは真価を試されることになる。

ジュリアス・ランドルも同様に、ポストシーズンでは見事なパサーとしてウルブズのオフェンスを牽引してきた。彼にとってもこのラウンドは簡単ではないだろう。ターンオーバーを抑えなければならないが、サンダー相手では誰もそれができなかった。ヨキッチでさえこのディフェンスを破れなかったのなら、ランドルがサンダーを相手に成功するのは難しいだろう。

原文:NBA Playoffs 2025: Ranking Pacers, Knicks, Thunder, Timberwolves chances of winning championship

抄訳:小野春稀(スポーティングニュース日本版)


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