過大評価から真のスーパースターへ タイリース・ハリバートンのプレイオフ物語

小野春稀 Haruki Ono

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インディアナ・ペイサーズの司令塔としてチームをNBAファイナルに導いたタイリース・ハリバートン。ファイナルでは第7戦で無念の負傷離脱となり、チームもオクラホマシティ・サンダーの前に敗れた。しかし2025年のプレイオフを通して、多くのクラッチショットを沈め、ニューヨーク・ニックスとのカンファレンス決勝第4戦では、0ターンオーバーでのトリプルダブル達成という偉業を成し遂げた。

ハリバートンのプレイオフでの大活躍で、つい先日まで彼に貼られていたとあるレッテルを忘れてしまったファンの方もいるのではないだろうか?

2025年4月、『The Athletic』が匿名のNBA選手間調査の結果を公表した。調査項目には「今年のMVPは誰か?」「優勝チームはどこか?」などがあり、その中には「最も過大評価されているのは誰か?」という項目も含まれていた。

ハリバートンはその項目で、14.4%の票を獲得し、1位となったのだ。これは今からたったの2か月前のことである。

今年のプレイオフ、ハリバートンは素晴らしいパフォーマンスを見せ、周囲の評価を覆した。

ここでは、ハリバートンが真のスーパースターへ駆けあがったプレイオフ2025を振り返っていこう。

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タイリース・ハリバートンのプレイオフ物語

Tyrese Haliburton

NBA Entertainment

東1回戦:ミルウォーキー・バックス

ハリバートンの平均スタッツ:17.6得点、6.4リバウンド、11.6アシスト

東1回戦はミルウォーキー・バックスとの対戦となった。バックスはヤニス・アデトクンポが圧倒的なパフォーマンスを見せたが、相棒のデイミアン・リラードが負傷離脱。ペイサーズはバックスを圧倒し、第5戦で勝負を決めた。

このシリーズのハリバートンのベストプレイは、第5戦のオーバータイムで生まれた。

3勝1敗で王手をかけた第5戦、試合はオーバータイムにもつれ込んだ。残り6秒、ハリバートンはアデトクンポをドライブで完璧に抜き去り、ゲームウィナーのレイアップを決めた。

1回戦突破を決めた後、ハリバートンは自身のXアカウントに「Overrate THAT」と投稿した。

Tyrese Haliburton Indiana Pacers

NBA Entertainment

東準決勝:クリーブランド・キャバリアーズ

ハリバートンの平均スタッツ:17.4得点、4.6リバウンド、7.0アシスト

東準決勝の相手は第1シードのクリーブランド・キャバリアーズ。レギュラーシーズンを64勝18敗で駆け抜けた東の優勝候補筆頭で、キャバリアーズのシリーズ突破を予想する声が大半だった。

しかし、シリーズの展開は全く異なるものとなった。キャバリアーズがドノバン・ミッチェル頼みのオフェンスに終始する一方、ペイサーズはバランスの取れたオフェンスを展開。結果、第5戦でキャバリアーズを破り、アップセットを果たした。

このシリーズのハリバートンのベストプレイは第2戦で生まれた。

第4クォーター残り12.4秒、ペイサーズは2点ビハインド。ハリバートンのフリースローが外れ、両チームがリバウンドを確保できずボールがティップされた後、彼の手元に戻った。

ボールを確保したハリバートンはトップの位置まで戻り、残り9秒で仕掛けた。タイ・ジェロームとの1対1で放ったステップバック3Pがネットを射抜き、逆転。試合は120-119でペイサーズが勝利した。

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東決勝:ニューヨーク・ニックス

ハリバートンの平均スタッツ:21.0得点、6.0リバウンド、10.5アシスト

東カンファレンス決勝の相手は、2024年の東準決勝でも対戦したニューヨーク・ニックスだった。ジェイレン・ブランソンとカール・アンソニー・タウンズに得点を量産されたものの、ペイサーズはハリバートンとパスカル・シアカムがステップアップ。それぞれ平均21.0得点、24.8得点を記録し、ニックス撃破の原動力となった。

ハリバートンのベストプレイは第1戦で生まれた。

第4クォーター残り7.3秒、ペイサーズは2点ビハインド。ハリバートンが残り2秒で放ったステップバック3Pは、リングに弾かれた後ネットを通過。だが、足がわずかに3ポイントラインにかかっていたため2点となり、ゲームウィナーとはならなかった。それでも、ペイサーズはオーバータイムでニックスに勝利した。

また、第4戦でのパフォーマンスも歴史的だった。ハリバートンは32得点、12リバウンド、15アシストのトリプルダブルを0ターンオーバーで達成。これは1977-78シーズン以来の偉業だった。

Tyrese Haliburton

NBAファイナル:オクラホマシティ・サンダー

ハリバートンの平均スタッツ:14.0得点、4.6リバウンド、5.9アシスト

NBAファイナルでは、MVPのシェイ・ギルジャス・アレクサンダー率いるオクラホマシティ・サンダーと対戦。圧倒的なディフェンス力を誇るリーグNo.1のチームで、サンダーの圧倒的勝利を予想する声が大半だった。

ハリバートンは第7戦で負傷離脱したが、シリーズを通してサンダーのディフェンスに上手く対応した。プレイオフ全体でジャ・モラント、ジャマール・マレー、アンソニー・エドワーズら名だたるハンドラーがサンダーのディフェンスに苦しむ中、ハリバートンはビッグマンとのピック&ロールや自身の長さとスピードを活かしたドライブでサンダーの守備に風穴を開け、ペイサーズのオフェンスを牽引した。

NBAファイナルでのハリバートンのベストプレイは第1戦で生まれた。

第4クォーター残り6.3秒、ペイサーズは1点ビハインド。ハリバートンはコート中央でボールを受け、ケイソン・ウォレスのマークを受けながら3Pンまでボールを運ぶ。残り約2秒、わずかなスペースを見つけ放ったミドルジャンパーがリムに吸い込まれ、ゲームウィナーとなった。

第1戦は終始サンダーが主導権を握っていたが、ペイサーズは第4クォーターに追い上げ、ハリバートンのクラッチショットで勝利を掴んだ。

プレイオフの主役だったペイサーズとハリバートン

ここまで、ハリバートンの印象的な2025年プレイオフの瞬間を振り返ってきた。最終的には負傷による離脱と悔しいファイナル敗退に終わったペイサーズとハリバートン。しかし、第4シードから次々とアップセットを起こし、プレイオフを最も盛り上げたのはペイサーズだった。その中心にいたハリバートンは、効率的なパフォーマンスと数々のクラッチショットで正真正銘のスーパースターへと登り詰めた。

わずか2か月前、人々はハリバートンを「過大評価」と評したが、今では彼が過小評価されていたのではないかと思わざるを得ない。ハリバートンとペイサーズの歴史に残るプレイオフランは、まさに圧巻だった。

ハリバートンのプレイオフ2025の全試合のスタッツ

 PTSREBASTSTLBLKTOFG3PFG%3P%±
MIL-1107120013/130/723.10.027
MIL-2215120038/193/1042.130.02
MIL-3147100115/114/945.544.4-23
MIL-4178151056/112/554.540.025
MIL-5265933110/222/1045.520.0-3
CLE-1223131319/152/660.033.311
CLE-219940107/112/263.6100.011
CLE-34051032/80/125.00.0-20
CLE-411550023/81/537.520.027
CLE-5316811410/156/1066.760.027
NYK-13141110212/234/1252.233.315
NYK-2148112015/163/1031.330.0-2
NYK-320473037/152/846.725.0-1
NYK-432121540011/235/1247.841.716
NYK-58262102/70/228.60.0-23
NYK-6216133149/172/552.940.024
OKC-1141060136/132/746.228.612
OKC-217362257/133/853.837.5-5
OKC-3229112149/174/852.950.01
OKC-418272057/151/746.714.31
OKC-54760030/60/40.00.0-13
OKC-614152015/123/741.742.925
OKC-79000013/53/460.075.0-2

※PTS=得点、REB=リバウンド、AST=アシスト、STL=スティール、BLK=ブロック、TO=ターンオーバー


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小野春稀 Haruki Ono

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。大学生。元はスポーティングニュースのNBAニュースを毎日楽しみにしていた読者であったが、今では縁あってライターとして活動している。小学生の時にカイリー・アービングのドリブルに魅了されNBAの虜に。その影響で中高6年間はバスケに熱中した。主にNBAの記事を執筆している。