未だに終着点が見えないニコラ・ミロティッチの契約問題

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9月に入り、NBAのトレーニングキャンプ開始まであと数週間となった。すでに大半のチームが、トレーニングキャンプ用のロスターを作り上げている。それはシカゴ・ブルズも同様で、今夏チームはフランチャイズプレイヤーだったジミー・バトラーをミネソタ・ティンバーウルブズに放出するなどアクティブなシーズンオフを過ごしたが、制限付きフリーエージェントのニコラ・ミロティッチに関しては、未だに選手としての力量を見定めようとしている。

26歳のミロティッチは今夏ブルズの練習施設でトレーニングを続けながら、自分の将来に関する問題が解決されることを待ち続けている。制限付きFAの場合、選択肢は2つに1つ。ブルズからクオリファイング契約を提示されるか、他チームからオファーシートをもらい、その契約にブルズがマッチするかどうか。もし後者のケースになり、ブルズがマッチしなければミロティッチは新たなチームに移籍できる。だが現時点では、どちらのケースも起こっていない。

ブルズのガー・フォーマンGMとジョン・パクソン球団社長の考えはわからない。ミロティッチは待機状態のままだが、仮に同選手が今季ブルズでプレイしても、来年4月にチームがプレイオフに勝ち上がる可能性は非常に低い。つまり、ミロティッチがブルズのロスターに加わる云々にかかわらず、契約交渉で有利な立場にあるのはブルズということだ。

それでもミロティッチの技術はブルズにとってプラスにはたらく。キャリア平均こそ10.6得点、5.5リバウンド、1.1アシストと平凡だが、ミロティッチには力強い武器が備わっている。身長208cmのフォワードながら195cmクラスのガードのようにシュートが打て、2015-16シーズンには3ポイントショット成功率39%をマーク。昨季は3P成功率34.2%に落ち込み、シーズンを通じて安定したプレイができなかったが、ストレッチ4として脅威になれる存在だ。これだけの力の持ち主ならば、ブルズの若手がレーンを攻め上がれるだけのスペースを作ってくれる。

またミロティッチは、時折ながらも爆発的な力を発揮する。新人だった2014-15シーズンの3月には平均20得点を超え、2年目には2試合で30得点超えを記録。そして昨季のイースタン・カンファレンス・プレイオフ1回戦でボストン・セルティックスを相手に3試合続けて二桁得点を記録したパフォーマンスを忘れるわけにはいかない。だが、こうしたパフォーマンスを毎試合で発揮できないため、今もオファーを待ち続けている状態なのだ。

パフォーマンスでは物足りなさが残るものの、ミロティッチはアメリカ内外のブルズファンから人気が高い。Twitterのフォロワー数は18万6,000人、Facebookのフォロワー数は22万2,000人、Instagramのフォロワー数は27万人を超えている。もしブルズがミロティッチを呼び戻せば、球団とファンのためにも、ステップアップして期待に応えないといけない。

仮にミロティッチとの再契約を見送ったとしても、ブルズにとって損失はない。ブルズは、バトラーとのトレードにより、今年のドラフト全体7位でウルブズが指名したラウリー・マルケネンを獲得した。このマルケネンこそ、ミロティッチの穴を埋められる存在と言われている。フィンランド出身のマルケネンには長所が多く、欧州選手権デビュー戦でも能力を発揮した。

マルケネンはミロティッチと似たタイプの選手で、7フッター(213cm)ながらガードのようにシュートを打てる。アリゾナ大学で1年しかプレイしていないが、昨季は全37試合に出場して平均30.8分の出場で15.6得点、7.2リバウンドという好成績を残した。

大学時代には9試合で20得点超え、37試合中30試合で二桁得点を記録したマルケネンは、大学レベルでは頭一つ抜けた存在だった。NBAでも上手く力を発揮できれば、チーム再建に伴う痛みを和らげてくれる。

今季のブルズの目標は、イースト首位でも、プレイオフ進出でもない。ミロティッチの有無にかかわらず、ブルズは今、将来のためのプランを立てている。

原文:To sign or not to sign: Bulls win either way with Nikola Mirotic by Gabe Salgado/Sporting News(抄訳)

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