RIZIN 平本蓮ドーピング疑惑問題|騒動の経緯・各関係先会見のタイムライン

神宮泰暁 Yasuaki Shingu

井熊知也 Tomoya Ikuma

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2024年7月28日に開催された『超RIZIN.3』の直後、RIZINファイターである平本蓮に対してドーピング疑惑が浮上した。この疑惑は、SNSやメディアで急速に拡散され、平本のイメージに大きな影響を与える事態となった。

これを受け、平本は9月2日に都内で弁護士2名を伴い記者会見を開いた。会見において、平本は一貫してドーピングの使用を否定し、潔白を主張。9月5日にはRIZINの榊原信行CEOとドクター3人が記者会見を行い、平本および朝倉未来のドーピング検査が陰性であったことを公表した。

平本の主張だけでなく、RIZIN側の対応や国内におけるドーピング検査の詳細についても注目が集まっており、今後の展開が注視される。そこで本記事では、平本蓮に対するドーピング疑惑の発端から、各関係者の発言や会見までのタイムラインを交え、この騒動の詳細を時系列で詳しく解説する。


🕐平本蓮ドーピング疑惑・タイムライン

■3月17日:超RIZIN.3での朝倉未来 vs 平本蓮戦が発表

同日の会見に、RIZINの榊原信行CEO、平本蓮、朝倉未来が登場し、7月28日(日)にさいたまスーパーアリーナ・スタジアムバージョンで『超RIZIN.3』を開催することが正式に発表されると同時に、多くのファンが待ち望んでいた、朝倉vs平本がメインイベントとして決定。長年にわたる因縁を持つ両者の遺恨マッチの正式決定は、大きな話題を呼ぶことになった。

■対戦発表後:平本蓮がアイルランドで武者修行

3月16日に朝倉未来との対戦が発表された後、平本蓮は試合に向けてアイルランド・ダブリンに渡った。コナー・マクレガーが所属するSBGアイルランドジムで約1か月間の武者修行を敢行。修行期間中、平本はついに憧れであったマクレガーと初対面すると、握手を交わし、ともに練習に参加した。マクレガーは平本のパンチ力を絶賛。二人で肩を組んで記念撮影も行い、平本にとっては忘れられない瞬間となった。ABEMAの現地取材で公開されるなど、このアイルランド合宿で平本はさらに自信を深め、朝倉戦への準備を進めたと見られていた。

■7月28日:平本が朝倉未来をパンチで劇的KO

ついにRIZINファン待望の『超RIZIN.3』が開催され、注目のメインイベントで平本蓮が朝倉未来を1ラウンドKOで破るという衝撃的な結末となった。平本は持ち味である切れのあるパンチと素早いステップで朝倉をぐらつかせると、その後、パウンドで圧倒的な勝利を収めた。これにより平本は『RIZIN LMS(LAST MAN STANDING)』ベルトを獲得。試合後、朝倉は以前から宣言していた通り、引退を発表した。この時点では平本のドーピングに関する噂はなかった。

■8月18日:堀江貴文やRIZIN格闘家らの発言で波紋広がる

実業家の堀江貴文氏が、自身が出演する動画内で『超RIZIN.3』で行われた朝倉未来vs平本蓮の試合に関して、「とんでもないネタがあることを聞いてしまったんだよね」と発言。この発言がX上で拡散され、堀江氏に伝えた"ネタ元"であるBreakingDownのCOOである溝口勇児氏も反応し、SNS上で平本のドーピング疑惑が急速に広まった。

また、あるRIZIN格闘家らからも平本がステロイドを使用していたと思わせる内容のSNS投稿が見られた。これに対し、平本はSNSで「勝っただけでドーピング疑われるとか、不快どころか名誉だろ」と反応。一部格闘家はその後、謝罪の投稿を行ったが、この一連の流れからステロイド使用疑惑が徐々に広まっていった。

■8月20日:平本の通話音声がSNS上で公開される

X上で『復活の日本』という告発系インフルエンサーアカウントが、平本と関係者のものとされる通話音声を公開。その内容には注射や具体的な薬品に関する話が含まれており、これにより平本のドーピング使用疑惑が一気に高まった。一部では音声が加工された「AI合成説」も出たが、疑惑はネット上で広がり続けた。

■8月21日:カード発表会見で榊原CEOがドーピング検査体制を説明

9月29日に開催される『RIZIN.48』の追加カード発表会見で、榊原CEOが平本のドーピング疑惑について言及。「厳正なドーピング検査を行っており、今回も平本と朝倉の尿検体をアメリカで検査中」と説明した。検査結果は8月28日から9月4日の間に発表予定で、状況に応じた対応を公表することを約束した。最後に榊原CEOは「検査結果がすべてで、それ以下でもそれ以上でもない」とコメント。この会見後、ファンの間では尿検査ではなく血液検査を求める声も上がっていた。

上記動画、平本関連の話題は【6:46~】

■8月24日:平本蓮ファンイベント

8月20日の通話音声リーク後、平本はSNSでの更新を停止し、ドーピング疑惑については否定も肯定もしていなかった。そのため、平本蓮ファン感謝祭への出演が危ぶまれたが、平本は予定通り出演。ドーピング問題には触れなかったものの、「検査結果については安心してください」とコメントし、イベントを締めくくった。

■8月27日:YouTuberのシバターが平本の通話相手を特定

人気YouTuberでありRIZIN出場経験もあるシバターが、真偽は不明と前置きしつつ、関係者からの情報提供を基に平本の通話相手が格闘家の赤沢幸典であると特定し、その内容を自身のYouTubeチャンネルで公開した。シバターは平本と親交があることから、この動画により平本のドーピング疑惑がさらに波紋を広げる結果となった。

■8月28日:赤沢本人がSNSで反応

翌日、赤沢幸典はシバターの動画内容に反応し、SNSで3000文字を超える長文を投稿。シバターの主張に対し、「名前以外はほとんどが事実と異なる」と反論し、騒動の経緯を自ら説明した。赤沢は、かつて平本と練習仲間だったことや、過去に自身もドーピングを行っていたことを認めつつ、平本から「RIZINの尿検査に引っかからないドーピング方法を教えてほしい」と頼まれたことを告白した。

赤沢の告白によると、平本がドーピング方法を知りたがった理由について、アイルランドでの合宿で力負けしたことや、朝倉未来戦のプレッシャーが理由だったとしている。

赤沢はさらに、自身の銀行口座の取引履歴を公開し、それが平本からの支払いであることを示唆した。「この取引画面が偽造であれば刑事告訴されるリスクがある。そんな危険を冒して虚偽を作り上げることは、常識的に考えてあり得ない」と強調した。

■8月31日:榊原CEOの新たなコメント

RIZINの榊原CEOは、ドーピング検査結果が出次第、来週後半(9月上旬)に記者会見を開く予定だとSNSで発表した。

■9月1〜2日:平本が会見を発表、当日は弁護士2名とともに釈明

平本蓮は9月2日に緊急記者会見を開くことを告知し、「明日、世間を騒がせている件について話す」とXで宣言した。翌日の会見では白いスーツを着た平本蓮と弁護士2名が登場し、「ドーピングに違反することはしていない。お願いした事実もない」と否定。赤沢からサプリ(薬物)を勧められて購入したが、使用していないと説明し、ジム関係者から「風邪薬でもドーピング違反になる」と指摘されたこともあり、使用には至らなかったという。

一方で、膝の怪我のケアを理由にフィジカルトレーナーの勧めで腿に薬物の注射をうったことは認めた。今後、RIZINの血液検査や毛髪検査が求められた場合は「受けます」と述べている。

この記者会見では動画取材NGとし、生配信等はされなかった。

■9月4日:榊原CEOがドクター3名とともに記者会見へ

榊原CEOが、5日18時からドクター3名同席のもと、平本蓮(および朝倉未来)のドーピング検査の結果について記者会見を行うことを発表。平本蓮の会見は動画取材NGだったが、こちらの会見はRIZIN公式YouTubeチャンネルで生配信されることになった。

■9月5日:RIZIN側からの検査結果

榊原CEOの口から「検査結果発表させていただきます。朝倉未来選手、平本蓮選手、両選手”陰性”。そういう結果が返ってまいりました」と述べられ、ドーピング疑惑がかかっていた平本蓮の潔白が(現行のRIZINの規定上では)確認された。

今回の事態により、RIZINではドーピング検査に関してさらなる透明性と厳格さを追求していくと説明した。議論となっている血液検査についても言及し、RIZINがドーピング検査を依頼している、『世界ドーピング防止機構(WADA)』の標準的な検査方法として、検体検査の9割が尿検査で行われており、血液検査自体は世界でもイレギュラーなものであることを強調。一方、毛髪検査に関しては、『WADA』の検査項目には現時点では含まれていないことも合わせて説明した。以上を踏まえ、結果の隠蔽・捏造はないと完全否定した。

今後のRIZINでのドーピング検査基準に関して、榊原CEOは、「ドーピングポリシーを見直して新しい基準を策定します」とルールや基準を一層厳格化していく方針を示した。これにより、選手の公正性を守り、スポーツ競技としての信頼性を高めることを目指すとした。ルールの強化に伴い、選手や関係者がより一層の意識を持って競技に臨むことが求められる。今後のRIZINにおけるドーピング検査の変化や罰則に注目が集まるだろう。

また、平本にはさらに検査を受けてもらい、ドーピング検査をクリアした場合、大晦日の出場について相談していく予定とした。ここまでの経緯はルールによってはアウト(違反)であり、本人が買った薬物を使用しなかったと言っても疑惑は残ると一般論を語り、「今後、彼(平本)は疑惑と戦うことになります。それは、クリーンな体で戦うことで証明するしかない」とし、朝倉未来戦の勝利はもはや輝くものではないと、忸怩たる思いをにじませ、猛省を促した。

平本が医師免許を持たないフィジカルトレーナーに勧められて、右膝の負傷の回復を早める注射を打ったことについては、RIZIN医療部のドクター・諫山和男部長は、「日本では医師以外で注射行為はできない。信じられない話」と困惑気味に話した。

■9月5日:RIZIN検査結果会見を受け、平本蓮が謝罪

RIZINの記者会見を受け、平本蓮は自身のXに謝罪文を投稿。

■9月5日:RIZIN検査結果会見後、安保瑠輝也がSNSを更新

安保瑠輝也がRIZIN検査結果会見後にSNSを更新。安保は「自分の心に嘘はつけない。カルマは存在する」と意味深な投稿をした後、「RIZINが最大のピンチ、こんなときこそ大晦日で朝倉未来vs平本蓮2でしょ、そこのサブメインで安保瑠輝也とメイウェザーどうですか^_^未来さん引退撤退してもう一度平本と対決してください、それをみんなが望んでます」と提案し、朝倉未来vs平本蓮2だけでなく、自身(安保瑠輝也)vsメイウェザーの対戦も提案した。

『超RIZIN.3』では、ボクシングエキシルールで安保がプロボクシング世界6階級制覇王者マニー・パッキャオと好戦を繰り広げたことも話題となった。この試合を受けてか、パッキャオとも対戦経験のある伝説のボクサー、フロイド・メイウェザーが安保との対戦に意欲を示していた。

安保は「正直3Rならメイウェザーでもライアンガルシアでも俺勝てる自信あるで」とSNSで発言しており、ファンの間でも安保vsメイウェザーに(NYマフィアの孫との茶番試合よりもまともな相手として)期待が寄せられている。

■9月5日:朝倉兄弟が日本格闘技界に危機感を示した

朝倉未来が、RIZINの検査結果会見が行われた9月5日同日に自身のYouTubeチャンネルで新たな動画を公開した。動画では、UFCデビューを控え、約1か月間タイのバンタオジムで合宿中だった弟・海の元を未来が訪ね、二人で最近の日本の格闘技界について語り合った。

動画内ではドーピング問題について直接触れることはなかったが、海が「格闘技にはいいニュースがあまりないのでね今、変えないとね。この悪い流れを」と話し始めると、未来は「日本の市場がUFCに流れてしまいそうだよね。せっかく日本の格闘技をここまで盛り上げてきたのにさ」と、業界の現状に危機感を示した。

さらに海も「本当だよ、崩れるの早いから、気をつけないと」と共感を示し、未来は「俺たちが6年かけて再燃させた格闘技熱が、一気に下がっちゃう可能性ありますからね」と警戒感をさらに強めた。

海は自身の活躍を通じてUFCを日本で開催することを目標に掲げており、未来も柔術の大会への出場に意欲を示している。

■9月7日:朝倉未来がインスタライブでドーピング疑惑の件について触れた

9月7日に自身のInstagramのライブ配信でドーピング問題について、「いやぁ良かった~陰性だったわ。オレの漢方が引っかからないかヒヤヒヤした」と語り、平本蓮のことには触れず、自身の検査結果に安堵した様子を見せ、ファンにその心境を率直にシェアした。

以前、未来自身が監修した漢方について、ファンから「麻黄」というドーピング検査で禁止されている成分が含まれていると指摘されたことがあり、その後、SNSで服用をやめたことを明かしていた。そのため、未来は意図せずドーピング検査に影響がでることを懸念していた。

■9月8日:平本がアンチを挑発?『通常運転』に回帰か

平本がInstagramのストーリーズ(短時間で自動削除される)投稿で中指を立てた画像などを公開したことで、「反省してない」等のバッシングが再燃。これに対して平本は、Xで執拗な誹謗中傷について「既にあまりにもやばいやつは開示請求済みっす」と声明を出した。

■9月8〜9日:平本蓮とクレベル・コイケの場外戦が勃発

平本は、ドーピング疑惑浮上直後に自身への批判的な発言を行っていたクレベル・コイケを名指しし、泣き顔のクレベルの画像とともに「お前散々俺に薬中とか訳わかんねーこと言ってたな 400gも落とせずに嘘泣きして日本人御涙頂戴やってるプロ失格のお前なんかになんも言われる筋合いないんだわ」と、昨年6月のフェザー級タイトルマッチ(vs鈴木千裕)での計量失敗をネタに口撃し、対決を提案した。

クレベルは自身のXで計量失敗を改めて謝罪しつつ、平本の泣き顔とともにRIZIN全体に迷惑をかけたお前とは違うと投稿。「反省しろよクソレン」と切り返す場外戦が勃発。

すぐに平本も反応。「お前と違ってルール破ってねーし」と潔白をアピールしており、ファンを巻き込んでの論争になり始めている。

■9月9日:格闘王、前田日明が「真っ黒」発言!?

格闘技界を大きく騒がせたドーピング疑惑問題に、昭和の格闘王が大放言を放った。日本MMAのパイオニアのひとりでもあり、日本格闘界のご意見番でもある前田日明氏は、師・アントニオ猪木氏の三回忌法要に参列した際のメディア取材に対して際どい「提言」をぶっていたことを『東京スポーツ』が報じた。

前田氏は「平本は真っ黒」とし、数々の証拠を挙げて疑惑を指摘し、RIZINのアンチドーピング対策に対し「選手よりもチケット販売が優先されている」と批判。師から受け継いだ『猪木イズム』がうずいたのか「やってることが小さい」と言い放ち、アリ(ドーピング容認ルール)かナシ(追放処分)か「徹底的にやれ」と提言したと伝えている。平本に対しては「この調子でヘビー級まで」大幅増量を勧めるアキラ節が飛び出していた。


本記事は今後進展があり次第、随時アップデートしていく。

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神宮泰暁 Yasuaki Shingu

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日本編集部所属。ボクシング・格闘技担当編集者。

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スポーティングニュース日本版でアシスタントエディターを務める。大阪府茨木市出身。大学を卒業後、2020年にキックボクサーとしてプロデビューを果たす。引退後、格闘技に関連する情報を発信するために個人ブログを立ち上げる。ライターとしては主に格闘技をメインに扱い、目まぐるしく変化する格闘技の世界において、最新情報を追い続ける元プロ格闘家ライター。