佐々木朗希とドジャースの契約内容:外国籍選手に課せられる契約プロセスとは

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2025年のMLBのオフシーズンにおける注目株をめぐる争奪戦がついに決着した。

佐々木朗希がドジャースと契約合意に至ったことを自身のインスタグラムで発表した。佐々木は、今年最も注目される外国籍選手の有望株であるとともに、フリーエージェント市場に残った中でもトップクラスの選手と目されていた。

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佐々木は2023年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本代表チームでの大谷翔平のチームメイトとして、MLBのファンの注目を集めた。 速球が武器の佐々木は、大谷、メジャー13年のベテランの投手ダルビッシュ有、そして2024年のレギュラーシーズン前にドジャースに加入した山本由伸とともに強力なローテーションを構成した。

23歳の佐々木は2021年から日本プロ野球(NPB)でプレーしてきた。オールスターには2度出場しており、1試合最多奪三振数のNPB記録(19)と、1試合連続13奪三振の世界記録を手に今季からMLBに参戦する。

ここでは、佐々木の契約の中身、外国籍選手に課せられる契約プロセスについて紹介する。

佐々木朗希の契約の詳細

佐々木の契約の詳細はまだ明らかになっていないが、サインボーナス以外は他の選手と変わる部分はないと想定される。その理由は、佐々木がアマチュア・フリーエージェント選手の手続対象となるため、3年間の在籍期間を経て調停資格を得るまでは、年俸を抑えた標準的な6年間のルーキー契約でメジャー入りすることになるためだ。

裏を返せば、佐々木の選択は金額が理由だった訳ではないと考えられる。それでも、ドジャース は可能な限り高額なサインボーナスを佐々木に支払うだろう。

佐々木朗希の契約を大谷の最初の契約と比較すると?

アマチュアの外国籍選手としてアメリカに来ることにはプラスとマイナスがある。プラス要素は、より早くMLBでプレーでき、ここで成長できることだ。一方、マイナス要素は、プロとして認められるまで待ってからアメリカに来る場合と比べて、手にできる金額が大幅に減少することだろう。

誰もが知っているように、大谷は昨シーズン前にドジャースと10年総額7億ドル(1ドル156円換算で約1092億円、以下同)という巨額契約を結んだ。しかし、当初エンゼルスに入団した時の契約ではわずかに231万5000ドル(約3億6114万円)のサインボーナスしかなかった。大谷は他の日本のアマチュア選手と同様にマイナーリーグの標準的な契約を結んだ。大谷がエンゼルスに長く所属していたのは、標準的なマイナーリーガー同様、調停資格を得るまでの3シーズン、そして調停が可能となってからの2シーズンを過ごしたためだ。

佐々木のサインボーナスの額はまだ報じられていないが、契約はマイナーリーグ契約となる。もちろん、佐々木が2025年シーズンにメジャーリーグのロスターに登録される可能性もあるので、この契約はあくまで最初の契約と考えればいいだろう。

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佐々木朗希の日本での成績

リーグ年齢試合投球回数勝敗奪三振防御率WHIP
千葉ロッテ(イースタン/パ・リーグ)191683.14-2871.840.96
千葉ロッテ(パ・リーグ)2020129.19-41732.020.80
千葉ロッテ(パ・リーグ)2115917-41351.780.75
千葉ロッテ(パ・リーグ)221611110-51292.351.04

千葉ロッテ・マリーンズに所属する佐々木は2021年のルーキーイヤーこそ2軍のイースタンリーグと1軍の両方でプレーしたが、以降3年間は1軍に定着し、毎年結果を残してきた。

身長192cmの右腕は最速164キロの速球と145キロを超えるスプリッター、カーブ、スライダーを持ち球としている。スリークォーターの投球フォームは彼の投球に変化を加えるもので、2022年の19三振完封試合でも明らかだった。

外国籍選手のポスティング・プロセス

NPBでプロ経験9年未満の選手は、MLB各チームに対してポスティングされる必要がある。プロセスとしてはまず、日本の所属チームに対してポスティング申請を行い、チームがその申請を承認すれば、ポスティングされることになる。MLBの各チームにはポスティングされた選手と45日間の交渉期間が与えられる。その間に選手がMLBのチームと契約を結んだ場合、NPBの所属チームにはMLBのチームから移籍金が支払われる。契約が結ばれなかった場合は、選手はNPBの所属チームに戻ることになり、次のオフシーズンまでポスティング申請をすることはできない。

移籍金の決定方法は以下の通り、MLB.comでも紹介されている。

  • メジャーリーグ契約で、総額保証額が2500万ドル(約41億2500万円)以下の契約については、移籍金は総額保証額の20%となる。
  • メジャーリーグ契約で、総額保証額が2500万ドル(約41億2500万円)から5000万ドル(約82億5000万円)の場合は、移籍金は最初の2500万ドルの20%と、2500万ドルを超える総額保証額の17.5%となる。
  • メジャーリーグ契約で、総額保証額が50,000,001ドル(約82億5000万円)以上の場合は、移籍金は最初の2500万ドルの20%、次の2500万ドルの17.5%、5000万ドルを超える総額保証額の15%となる。
  • マイナーリーグ契約の場合、移籍金はサインボーナスの25%となる。マイナーリーグ契約にメジャーリーグの条件が含まれている場合、選手が25人枠のロスターに加えられれば、追加の移籍金が発生する。
  • メジャーリーグ契約にボーナス条項、エスカレーター条項、オプション条項が含まれている場合、日本の球団は、実際に選手が獲得したボーナスまたはエスカレーターの15パーセント、および/または行使されたオプションの15パーセントに相当する追加の移籍金を受け取ることができる。

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インターナショナル・ボーナス・プールによる制限 

外国籍選手は、アマチュアとプロフェッショナルの2つのカテゴリーに分けられる。アマチュアとは、25歳未満で、海外のリーグで6年間プロとしてプレーしていない選手を指す。このカテゴリーに該当する選手は、MLBのチームが支払うことのできる報酬の種類に制限があり、年俸はチームが保持するインターナショナル・ボーナス・プールの資金から支払われなければならない。一方、プロフェッショナルの場合は、MLBの他のフリーエージェントと同様に扱われ、希望するチームと希望する金額で契約することが可能となる

MLBチームはドラフト指名権をトレードすることはできないが、インターナショナル・ボーナス・プールの資金はトレードすることができる。各チームのプールは475万ドル(約7億8375万円)から575万ドル(約9億4875万円)の間で設定され、トレードにより自身のプール総額の最大60%まで取得することができる。プールの資金は選手一人当たりではなく、その年にチームが獲得する外国籍選手のために使用できる総予算となる。

つまり、今永昇太のようにプロフェッショナルに当たる選手は、昨オフにカブスと結んだような4年総額5,300万ドル(約87億4500万円)の高額契約を手にできるが、佐々木のようなアマチュアにあたる選手はそうした契約を結ぶことができない。そのため、プロフェッショナルの資格を得るまで待つ選手も多い。佐々木はアメリカでのキャリアを早くスタートすることで、最初の大型契約も早く手にできると考えているのかもしれない。大谷も同様の形でメジャー入りしたが、最初に手にしたのはマイナーリーグ契約と231万5000ドル(約3億6114万円)のサインボーナスだった。

佐々木朗希の年齢は?

佐々木は2001年11月3日生まれ、ルーキーイヤーを終えると24歳になる。ドジャースにとって朗報なのは、彼がこれから全盛期を迎えること、そして新契約が必要になる数年後まで、比較的安価に育成できる可能性があることだ。佐々木は大谷と似た軌跡をたどっているが、現時点では、将来的に大谷ほどの大型契約を結ぶとは考えられていない。それでも、ドジャースが彼を適切に育成できれば、次の契約はMLBのトップクラスの投手たちに匹敵するものになるだろう。

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原文:Roki Sasaki contract details: Dodgers land biggest international prize of offseason
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)

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