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フィリーズのブライス・ハーパーがロブ・マンフレッドMLBコミッショナーと激しい口論を展開

石山修二 Shuji Ishiyama

Daniel Chavkin

フィリーズのブライス・ハーパーがロブ・マンフレッドMLBコミッショナーと激しい口論を展開 image

メジャーリーグ(MLB)とメジャーリーグベースボール選手会(MLBPA)の包括的労使協定(CBA)はまだ1年以上も有効期間が残っているが、両者の対立は明らかだ。

先週末、コミッショナーのロブ・マンフレッド氏が、選手たちと共通点を見出そうとしてフィリーズのクラブハウスを訪問した際に明らかになった。その場でマンフレッド氏とフィリーズの選手たちとの間で激しい議論が交わされ、ブライス・ハーパーがマンフレッド氏に対し「クラブハウスから出て行け」と言い放ったと米ケーブル局『ESPN』のジェフ・パッサン氏が報じた

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マンフレッド氏とフィリーズの選手たちは信頼関係を深めるどころか、新たな労働争議の火種を植え付けた可能性が高い。ここではその経緯を整理する。

ハーパーとマンフレッド氏の間で何が起こった?

2021〜2022年のロックアウト以降毎年、ロブ・マンフレッド氏はMLB30チームすべてを訪問し、選手たちとの関係を改善しようとしている。通常、これらのミーティングは非公開とされているが、今回のフィリーズ訪問は異例なほど白熱し、ハンナ・キーサー氏とザック・クライザー氏がその様子を報じた。

フィリーズの選手たちがマンフレッド氏に対して不満を表明した理由は、次回のCBA交渉でリーグがサラリーキャップを導入する可能性についてだったと考えられている。この1時間に及ぶミーティングの中で、マンフレッド氏が行ったリーグの経済状況に関する議論に対してハーパーは不満を表明し、バットを握ったまま席から立ち上がるとマンフレッド氏に対して直接、リーグがサラリーキャップを導入するのであれば『選手たちは162試合を失うことも恐れない』と語ったと『ESPN』は報じている。

パッサン氏によれば、「その話をするなら、このクラブハウスから出て行け」とハーパーがFワードを交えながら言うと、マンフレッド氏もFワード込みで同様に「ここから出て行くつもりはない」とハーパーに言い返したと言う。

そして、外野手のニック・カステラノスが両者の間に入って仲介役をしたことで、質問が続き、会議は継続されたとパッサン氏は報じている。

「かなり激しい、間違いなく熱のこもったやり取りだった」とカステラノスは『ESPN』に語った。

「2人とも、コミッショナーがブライスに反論し、ブライスがコミッショナーに反論すした。それがハープだ。彼は15歳からずっとこうしてきた。いつものことで、驚きはない」

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MLBはサラリーキャップを導入するのか

今後予定されるCBA交渉の最大の話題は、MLBがサラリーキャップに同意するよう提案していることだ。ドジャースやメッツ、ヤンキースがリーグの他のチームよりも一貫して多額の支出を行っていることから、複数のオーナーはキャップ導入に前向きな姿勢を示している。

マンフレッド氏は今年に入ってから選手たちとのミーティングの中でサラリーキャップについてより積極的に発言するようになったと報じられている。だが、依然として反対の立場を堅持している選手が多いのが現状だ。

「このサラリーキャップ導入の重要性について、ロブはかなり追い込まれた状況にあるようだ。なぜなら、今の包括的労使協定が切れる2年も前から『ロックアウト』という言葉を出してきているからだ」とカステラノスは『ESPN』に語った。

「軽々しく口にするようなことではない。結婚生活の中で自分が『離婚の可能性はある。おそらく起こるだろう』と言うのと同じこと。そんなことは口にしないものだ」

MLBPAはサラリーキャップに断固として反対しており、MLBをアメリカのプロスポーツで唯一サラリーキャップのないリーグとして維持しようとしている。

MLBPAのブルース・メイヤー氏は今月初め、『The Athletic』の取材で「彼らがその制度を望んでいるのは、より多くの報酬を支払いたいからではないことは選手たちは即座に理解している」と語った。

オーナーたちがサラリーキャップの導入を望んでいるとしても、選手たちの同意を取り付けるのは難しい戦いになるだろう。

関連記事:メジャーリーグベースボール選手会が主張するサラリーキャップに対するスタンスは他リーグとして比較して正当なのか

原文:Bryce Harper-Rob Manfred confrontation, explained: Why Phillies star told MLB commissioner to 'get the f—' out of clubhouse
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)

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石山修二 Shuji Ishiyama

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。生まれも育ちも東京。幼い頃、王貞治に魅せられたのがスポーツに興味を持ったきっかけ。大学在学時に交換留学でアメリカ生活を経験し、すっかりフットボールファンに。大学卒業後、アメリカンフットボール専門誌で企画立案・取材・執筆・撮影・編集・広告営業まで多方面に携わり、最終的には副編集長を務めた。98年長野五輪でボランティア参加。以降は、PR会社勤務・フリーランスとして外資系企業を中心に企業や団体のPR活動をサポートする一方で、現職を含めたライティングも継続中。学生時代の運動経験は弓道。現在は趣味のランニングで1シーズンに数度フルマラソンに出場し、サブ4達成。

Daniel Chavkin

Daniel Chavkin is a Digital Content Producer for The Sporting News. A 2018 graduate from the University of Maryland, he has previously written for Sports Illustrated, NBC Sports and NFLTradeRumors.com.