メッツのファン・ソトがブレーブス戦の1試合2ホーマーでジミー・フォックスの記録を更新

コントリビューター
石山修二 Shuji Ishiyama
コントリビューター
Anthony Licciardi
メッツのファン・ソトがブレーブス戦の1試合2ホーマーでジミー・フォックスの記録を更新 image

ニューヨーク・メッツのフアン・ソトはクイーンズで過ごした最初の2ヶ月の間、7億6500万ドル(1ドル144円換算で約1101億6000万円)という巨額の契約額の下で厳しい監視の目に晒されていた。そのため、ソトがこれまでの実績やMVPへの期待に及ばないパフォーマンスを見せると、ファンや批評家たちは一斉に精神科医のように状況分析を始めていた。

しかし、そうした批判はまるで根拠のない、時期尚早なもので、まだサンプル数が少ないという現実、彼は何ら問題ないことを示すデータとはかけ離れたものだった。

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ソトのスタッツは今ではすっかり別物に変わっている。シーズン序盤こそ不本意なスタートを切ったものの、6月のソトは球界で最高の打者としてプレーし、wRC+(Weighted Runs Created Plus/打席あたりの得点創出能力を評価する指標)は現在MLBで9位の236を誇っている。そして現地25日(水)のアトランタ・ブレーブス戦、その日2本目のホームランを放ち、7対3の勝利に貢献したソトの興奮に満ちた姿を前にメッツ・ファンは大喜びだった。

大差のゲームでの1発にソトが歓喜した理由

7回裏、カウント3-1からソトが右中間へ放った打球はセンターのマイケル・ハリスIIのグローブをわずかに越えていった。ボールがフェンスを越えた瞬間、彼はベンチの方を向き、拳を突き上げ、胸を叩き、笑顔でベースを回った。

ソトにとってはこの瞬間こそ、メッツで過ごした最も幸せな瞬間だったかもしれない。7-1とリードを広げる一発は決して歴史に残るホームランではない。彼はこれまでにも、そして今後も、より大きな、より影響力のあるホームランを打つだろう。

しかし、この1発でソトはジミー・フォックスの記録を更新した。

フォックスは27歳以前の選手による複数本塁打試合数の最多記録を保持していた。この日2本の本塁打で、ソトはこの記録を(皮肉にも)27試合に更新した。

「ソトは、ジミー・フォックスの記録を更新したことを認識していると思う」と、解説のキース・ヘルナンデス氏は放送で語った。

「彼はそのことをよく理解していると思う。そのことを祝うべきだ」

ソトがメジャーリーグのレジェンドたちと肩を並べるのは何もこれが初めてではない。27歳になる前に1,000安打と200本塁打を達成すれば、こうした比較をされるようになるのは当然のことだ。ソトは長年、野球史上最高の打者になることを目標に掲げてきた。それこそが彼にMLB史上最大の契約をもたらし、チームメイト全員が彼の野球への取り組みに感嘆の声を上げる理由だ。

この日の記録がソトにとって意味深いものだったことは、驚くべきことではない。

「僕にとっても本当にクールなことだよ」とソトは『MLB.com』のアンソニー・ディコモ氏に語った。

ソトは現在、チームトップの19本塁打をマークし、xwOBA (Expected Weighted On-Base Average/打球の速度や角度などのデータから、打者の打球の質を評価し、それによってどれだけの出塁率が期待できるかを数値化したもの) ではリーグトップ、さらにリーグ最多の四球を選んでいる。持ち前の打席での対応力は失われておらず、パワーも戻ってきた。

天候も暖かくなり、ボールが飛ぶようになる中、ニューヨークでは世代最高の選手が繰り広げるショーをのんびりと観戦できる季節がやってきた。ソトの夏が始まった。

「ようやくだよ」とソトは語った。

「スイングをはじめ、すべてが正しい方向に進んでいる。…寒い時期も終わって、ようやく楽しめる時が来た」

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原文:Juan Soto celebrates history as New York Mets rally past Atlanta Braves
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)


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