エプソムダービー(英ダービー)は、英国クラシック競走の頂点に君臨する伝統と格式のレース。今年も例年通り、エプソムの聖地に3歳のトップホースたちが集結する。注目は、アイルランドの名門エイダン・オブライエン厩舎と、その名手ライアン・ムーアの選択だ。絶対的な本命不在の今年は、戦術と血統背景の分析がカギとなるオープンな一戦となりそうだ。
英ダービーはいつ行われる?
2025年の英ダービーは現地6月7日(土)午後3時30分(日本時間同午後11時30)に発走予定。舞台は芝1マイル4ハロン6ヤード(約2,410メートル)で、エプソム競馬場で行われる。
A.オブライエンの“巻き返し三連覇”なるか?
歴代最多10勝を誇るエイダン・オブライエン調教師。特筆すべきは、直近2年の勝ち馬がいずれも前哨戦で敗れてからの巻き返しだったこと。2023年のオーギュストロダンは2000ギニー12着から、2024年のシティオブトロイは同9着から本番で戴冠を果たした。
2025年、その流れを継ぐ存在がザライオンインウィンターだ。今季初戦のダンテステークスでは6着と敗れたが、悲観する内容ではなく、ここを照準にした叩き台と見るのが自然。父は名馬シーザスターズ、母系はヴァーナスデミロらを輩出した欧州屈指の名血統。真価はダービー本番でこそ問われる。
ドラクロワの完成度は随一、距離適性に一抹の不安も
ドラクロワはレパーズタウンのダービートライアルを完勝し、現時点で“最も完成された一頭”との評価が高い。父は米国三冠馬ジャスティファイ、母はG1を複数制したテピンという華麗な血統の持ち主。
ただし、距離への不安が残る。母父のバーンスタインや祖母父のストラヴィンスキーはともにスプリント志向が強く、2400メートルのスタミナには疑問符がつく。さらにムーア騎手が本番でどの馬を選ぶのかも注目ポイント。バリードイルからはザライオンインウィンター、ランボーンなども出走予定で、ムーアの選択が大きなヒントになるかもしれない。
その他の注目馬
ルーリングコート(英2000ギニー優勝馬)
今季最初の英クラシックを鮮やかな末脚で制覇。血統的には距離不安が残るが、勢いとクラスの高さは無視できない。
ダミサス(ダンテS 2着)
ザ・ライオン・イン・ウィンターを抑えて2着に健闘。地味だが確実に成長しており、展開次第では一角崩しも。
プライドオブアラス(ダンテステークス優勝馬)
キャリアは2戦2勝。ダンテSでは馬群をこじ開ける強烈な末脚を披露。まだ底を見せておらず、距離適性も高そうだ。
ランボーン(チェスターバーズステークス優勝馬)
地味だが、前走のG3で2400メートルを制してブレイク。ドラクロワと接戦の実績もあり、父オーストラリア(父ガリレオ)から続く三代ダービー制覇にも期待がかかる。
予想
◎ ザライオンインウィンター
中距離適性が明らか。バリードイルの「2戦目の激変」パターンが炸裂すれば、逆転戴冠は十分可能。
○ ドラクロワ
精神的・戦術的に完成された馬。距離さえ克服すれば、上位争いは濃厚だ。
▲ プライドオブアラス
ダンテステークスで見せた勝負根性は魅力。多頭数の混戦でこそ力を発揮しそうだ。
△ ランボーン
地味だが上昇一途。前走で距離適性を示し、ドラクロワにも迫った実力派。
まとめ
ドラクロワの完成度は目を見張るが、本番にピークを持ってくるバリードイル勢の強さは実証済み。過去の教訓が教えるのは一つ——「前走で負けたバリードイル勢を軽視するな」。2025年の栄冠は、過去ではなく“今”に賭ける馬に微笑むかもしれない。
英ダービー2025開催概要
- 日付:2025年6月7日(土)
- 出走時刻:午後3時30分(日本時間午後11時30分)
- 距離:1マイル4ハロン6ヤード(約2,410m)
- 競馬場:エプソムダウンズ競馬場(イギリス・エプソムダウンズ)
エプソムダービー勝利数一覧(2005〜2024年)
調教師別
調教師 | 勝利数(2005〜2024) | 主な勝ち馬(年) |
エイダン・オブライエン | 8 | キャメロット(2012)、ルーラーオブザワールド(2013)、オーストラリア(2014)、ウィングスオブイーグルス(2017)、アンソニーヴァンダイク(2019)、サーペンタイン(2020)、オーギュストロダン(2023)、シティオブトロイ(2024) |
チャーリー・アップルビー | 2 | マサー(2018)、アダイヤー(2021) |
サー・マイケル・スタウト | 2 | ワークフォース(2010)、デザートクラウン(2022) |
ジョン・ゴスデン | 1 | ゴールデンホーン(2015) |
ジム・ボルガー | 1 | ニューアプローチ(2008) |
アンドレ・ファーブル | 1 | プールモア(2011) |
J.オックス | 1 | シーザスターズ(2009) |
ピーター・チャップルハイアム | 1 | オーソライズド(2007) |
M P・トレゴーイング | 1 | サーパーシー(2006) |
マイケル・ベル | 1 | モチヴェーター(2005) |
ダーモット・ウェルド | 1 | ハーザンド(2016) |
騎手別
騎手 | 勝利数(2005〜2024) | 主な勝ち馬(年) |
ライアン・ムーア | 4 | ワークフォース(2010)、ルーラーオブザワールド(2013)、オーギュストロダン(2023)、シティオブトロイ(2024) |
フランキー・デットーリ | 2 | オーソライズド(2007)、ゴールデンホーン(2015) |
ジョセフ・オブライエン | 2 | キャメロット(2012)、オーストラリア(2014) |
シェイミー・ヘファーナン | 1 | アンソニーヴァンダイク(2019) |
パット・スマレン | 1 | ハーザンド(2016) |
ウィリアム・ビュイック | 1 | マサー(2018) |
ケビン・マニング | 1 | ニューアプローチ(2008) |
ミカエル・バルザローナ | 1 | プールモア(2011) |
アダム・カービー | 1 | アダイヤー(2021) |
リチャード・キングスコート | 1 | デザートクラウン(2022) |
エメット・マクナマラ | 1 | サーペンタイン(2020) |
パドレイグ・ベギー | 1 | ウィングスオブイーグルス(2017) |
ミック・キネーン | 1 | シーザスターズ(2009) |
マーティン・ドワイヤー | 1 | サーパーシー(2006) |
ジョン・マータフ | 1 | モチヴェーター(2005) |
ゲート番号別
ゲート番号 | 勝利数(2005〜2024) | 勝利年 |
1 | 2 | 2024、2021 |
2 | 0 | |
3 | 1 | 2008 |
4 | 1 | 2009 |
5 | 2 | 2012、2005 |
6 | 0 | |
7 | 2 | 2019、2011 |
8 | 2 | 2015、2010 |
9 | 1 | 2016 |
10 | 4 | 2023、2018、2013、2006 |
11 | 0 | |
12 | 3 | 2022、2020、2014 |
13 | 0 | |
14 | 2 | 2017、2007 |
15〜20 | 0 |