元F1最高責任者バーニー・エクレストンは、ルイス・ハミルトンに対し、「何か深刻なことが起きる前に、手を引くべきだ」とF1から引退するよう促した。
エクレストンは、40年以上にわたってF1を牽引し、この競技を世界的ビジネスへと押し上げた立役者でもある。
現在は現場を離れているものの、エクレストンは今なお影響力のある存在であり、ハミルトンとも長年の関係がある。
40歳のフェラーリドライバーの最近の苦戦について、エクレストンはこう語った。
「ルイスは非常に才能があり、これまでもそうだったし、おそらく今もそうだ。ただ、多くのトップアスリートと同じように、頂点に立ったあとは進む道が限られている」
7度のワールドチャンピオンであるハミルトンは今年、メルセデスからフェラーリへと移籍したが、現時点では苦しい状況が続いている。
今シーズン、14戦すべてで表彰台に立つことができず、特にハンガリーでは痛恨の12位に終わった。
また、予選ではチームメイトのシャルル・ルクレールに10回敗れており、決勝レースで上回ったのもわずか2レースだけだ。
なぜエクレストンはこう語ったのか?
エクレストンには、すでに運命は決まっているように映っている。
「ルイスは疲れている。もう完全にF1から離れて休むべきだ。全く別のことに挑戦するために、一度リセットする必要がある。もし私が彼の面倒を見ている立場なら、すぐにフェラーリと話をして、こう伝えるだろう。『もし代わりのドライバーがいるなら、ルイスは身を引く』と」
とはいえ、ハミルトンは少なくとも公の場では、引退について言及していない。
エクレストンの懸念はあっても、F1を去る決断を下すのはハミルトン自身だ。
エクレストンは、こうした状況を踏まえて次のように述べた。
「ルイスには何事もなく無事でいてほしい。彼はすでに7度のタイトルを獲得していて、それで十分だと思う」
ハミルトンほどの選手が、シーズン途中で戦わずに去ることは考えにくい。
しかし、エクレストンの言うことは一理あるかもしれない。今のF1において、ACL(前十字靭帯)断裂は、最悪の事態とは言えない。エクレストンは次のように語った。
「背骨を折ったり、ひどい怪我で2年間寝たきりになるようなことがあっては、意味がない」
ハミルトンがどんな決断をしようとも、これまでの歴史が物語っているのは、レースをやめるタイミングを決められるのはドライバー本人だけだということだ。
原文:Bernie Ecclestone urges Lewis Hamilton to quit F1 before 'something bad happens'
翻訳・編集:浄見耕志(スポーティングニュース日本版)
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