スティーブン・フルトンは井上尚弥にとって過去最強の対戦相手か|7.25 有明アリーナ

Andreas Hale

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7月25日、『モンスター』井上尚弥がWBC・WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトンと激突する。2012年のプロデビュー以来、24試合、対戦相手としては23人のファイターと拳を交えてきた井上だが、はたして24人目の相手となるフルトンは、過去の戦士たちに比べて最強と言えるのか?

このシンプルな疑問に名門誌『The Ring』や『Boxing Scene』など主要専門メディアでの執筆経験を持つ本誌シニア記者アンドレアス・ヘイルが回答する。

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スピード、テクニック、精神力、そして肉体的にピークにあるフルトンは、井上にとって史上最強の相手か

井上尚弥が7月25日、東京の有明アリーナにおいて、WBC及びWBOスーパーバンタム級王者のスティーブン・フルトンに挑戦する。勝てば4階級目の制覇、そして2階級目の4団体統一へと歩みを進めることになる。

井上はパウンド・フォー・パウンドで世界最強ファイターのひとりであるとの評価が高い。戦績は24勝0敗(21KO)である。2012年にプロデビューをはたして以来、現在の30歳になるまでに、ライトフライ(ジュニアフライ)級とスーパーフライ級で世界タイトルを獲得し、2022年12月には日本・アジア人初のバンタム級4団体統一王者になった。

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井上が歴史を作り続けるなか、21勝無敗のフルトンはこれまでで最強の対戦相手なのだろうかと疑問を抱く人もいるだろう。結論を先に述べると、その回答はもちろんイエスである。

井上がこれまでに対戦した相手のなかで、最も有名なファイターは間違いなく5階級制覇王者のノニト・ドネアである。井上はドネアとの第1戦を激しい打ち合いの末に制したが、その時点でのドネアの実力を疑うものもいた。当時36歳になっていたドネアは明らかにピークを過ぎていたからだ。

2007年から2012年にかけて複数の階級で猛威を振るった『フィリピンの閃光』の衰えたバージョンを見ている感もあった。カール・フランプトンとヘスス・マグダレノに敗れたフェザー級での試合は、将来の殿堂入りが確実視されるドネアのキャリアも晩年にさしかかっていると思われた。しかし、ドネアは『ワールドボクシング・スーパーシリーズ』(WBSS)のバンタム級トーナメントを勝ち上がり、誰もが予想しなかったWBA(スーパー)王座を獲得した。だが、そこまでだった。

ドネアはその後、前述通り3-0判定で井上に敗れ。2年後の再戦では2ラウンドKO負けの完敗を喫した。それはキャリア最盛期のドネアではなかった

ではフルトンはと言えば、現在29歳の肉体的にはピークにある。

 

井上が下したポール・バトラー、ジェイソン・モロニー、オマール・ナルバエス、アドリアン・エルナンデス、そしてファン・カルロス・パヤノは世界タイトル保持者だった。しかし、そのなかにドネアより(実力的に)上だと思われるボクサーはいない

そうなると、あとはエマヌエル・ロドリゲスが残る

ロドリゲスもフルトン同様、井上と対戦するまで無敗だった。2019年に井上と対戦する直前の2試合で、ロドリゲスはモロニーに2-1判定、そしてバトラーに3-0判定で、それぞれ勝利を収めていた。

当時無敗のIBF王者ではあったが、ロドリゲスの経歴には派手な勝利が欠けていた。ロドリゲスはモロニーにキャリア初の土をつけたが、試合後半に反撃を許し、僅差の判定決着で終わった。

ところが井上はそのモロニーを7ラウンドKOで圧倒し、ロドリゲス本人を試合開始から6分足らず(2回1分19秒TKO)で倒してみせた

フルトンは井上より体格で優り、統一王者でもある。これまで判定でスコアを対戦相手に許したことが一度もない。直近の2試合では、元統一王者のダニエル・ローマンとブランドン・フィゲロアとの激戦を制した。

これまでの戦いで、フルトンはWBO及びWBC王者に相応しいスピード、テクニック、そして精神力の持ち主であることを証明してきた。『ザ・モンスター』こと井上の挑戦を受ける資格は十分にある。

こうした議論の上では、フルトンはこれまで井上が対戦してきたなかで最強の相手だ。井上はフルトン相手にどのような戦いを見せ、歴史に新たなページを加えるだろうか。

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原文:Is Stephen Fulton the best opponent Naoya Inoue has ever faced? /Text by Andreas Hale
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本語版編集部 神宮

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Andreas Hale is the senior editor for combat sports at The Sporting News. Formerly at DAZN, Hale has written for various combat sports outlets, including The Ring, Sherdog, Boxing Scene, FIGHT, Champions and others. He has been ringside for many of combat sports’ biggest events, which include Mayweather-Pacquiao, Mayweather-McGregor, Canelo-GGG, De La Hoya-Pacquiao, UFC 229, UFC 202 and UFC 196, among others. He also has spent nearly two decades in entertainment journalism as an editor for BET and HipHopDX while contributing to MTV, Billboard, The Grio, The Root, Revolt, The Source, The Grammys and a host of others. He also produced documentaries on Kendrick Lamar, Gennadiy Golovkin and Paul George for Jay-Z’s website Life+Times.