4.9 タパレス戦直前のアフマダリエフ、防衛成功後に井上vsフルトン戦勝者との4団体統一戦を断言

Tom Gray

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WBC・WBO世界スーパーバンタム級王者スティーブン・フルトン vs. 井上尚弥のメガマッチは、井上の拳のケガによって5月から7月に延期となったが、この階級のもうひとりの二冠王者ムロジョン・アフマダリエフは、日本時間4月9日に防衛戦を迎える。

WBAとIBFのタイトルを保持するウズベキスタンのテクニシャンは、防衛戦後の迷いのない青写真について語った。名門『The Ring』誌(リングマガジン)出身の本誌格闘技部門副編集長トム・グレイが伝える。

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WBA・IBF世界スーパーバンタム級王者のムロジョン・アフマダリエフが、日本時間4月9日昼(現地時間8日夜)に4度目の防衛戦に臨む。挑戦者はマーロン・タパレス。会場はテキサス州サンアントニオのボーイング・センター・アット・テック・センターだ。試合は12ラウンド制で行われ、日本を含めDAZNで独占ライブ中継される。

アフマダリエフ(11勝0敗、8KO勝ち)はオリンピック銅メダリストでもあり、アマチュアでは300戦以上のキャリアを誇る。ウズベキスタン出身、28歳のアフマダリエフは長いアマチュア歴の後で、プロに転向後は周囲からの期待通り、瞬く間に王座へ駆け登った。

2020年1月30日、プロとしては僅か8戦目でアフマダリエフはダニエル・ローマンを判定で下し、現在保有する世界タイトルを獲得した。それ以来、順調に防衛を重ねている。退けてきた挑戦者は岩佐亮佑(5回TKO)、ホセ・ベラスケス(判定3-0)、ロニー・リオス(12回TKO)である。

とくにリオス戦の大勝でアフマダリエフは大きな名声を手に入れたが、この試合中に左拳を骨折してしまい、10か月のブランクを余儀なくされた。ただ、未だにダウンの経験がなく、素早いフットワークで攻撃のチャンスを窺うタイプだ。

強敵タパレスとの防衛戦、サウスポー対策は万全

故障は完全に癒えたアフマダリエフだが、今回の挑戦者は非常に強敵だ。フィリピン人ボクサーのマーロン・タパレス(36勝3敗、19KO勝ち)は元WBOバンタム級世界王者である。

「タパレスのことはとても高く評価しているよ。『The Ring』誌のランキングでは6位だし、IBFのNo.1挑戦者になるくらいだからね。彼のことは世界チャンピオンだと考えている。1階級下で元チャンピオンだったのだから」とアフマダリエフはスポーティングニュースの取材に応えた。

「(タパレスは)とても強く、運動能力が高いボクサーだ。僕とはタイプが似ている。挑戦者として意欲に燃えているだろうし、強いパンチを持っている。だから僕はとても手強い相手だと考えているよ。プロ経験だって僕より豊富だしね。それでも僕にはたったひとつのことしか頭にはない。この試合に勝つことだ」

両者はともにサウスポーという、稀な組み合わせになる。しかし、その長いアマチュア経験から見て、アフマダリエフが有利であることは否めない。
 

「サウスポーを相手に戦うのはやっかいと言えばやっかいだ。右利きボクサーより数が少ないからね。だけど僕はこれまでに多くのサウスポーと戦ってきた。2年前に岩佐亮佑(5回TKO)を倒したけど、彼はサウスポーだ。その前にはイサック・ザラテ(9回TKO)も倒した。プロになってからも、サウスポーとは2回戦っている」とアフマダリエフは強調した。

「いつも僕次第なのさ。どう僕が適応するか、相手に何をさせるか、僕は自分自身に問いかける、あまり相手のことは考えない。タパレスは最高の状態で向かってくるだろうけど、僕はどんなことにも対応するだけさ。トレーニングキャンプではサウスポー対策もじっくり練ってきた。タパレスがどう出るにせよ、僕らの準備はできている」

防衛成功後は井上 vs. フルトン戦勝者との4団体統一戦を断言

スーパーバンタム級は現在、大きな注目を集める階級である。7月25日にWBA・WBO同級世界王者のスティーブン・フルトンが、元バンタム級4団体統一王者でパウンド・フォー・パウンドのスターである井上尚弥を相手に東京(有明アリーナ)で防衛戦を行うのだ。

「これは世界チャンピオン同士のすごい戦いになるだろうね。井上はすべてに優れたオールラウンダーだ。パンチは強力だし、テクニックも優れている。そしてフルトンも偉大なボクサーだ」とアフマダリエフは認めた。

「(勝者を)予想するのは難しいな。試合を予想することが好きじゃないのさ。彼らの試合をそれほどたくさん見たわけじゃない。フルトンも井上も2試合くらいを見ただけだ。だから彼らのことにそれほど詳しくない。ふたりとも高いパフォーマンスを発揮するだろうし、彼らのトレーニングキャンプが上手く行くことを祈るよ。僕はこの試合の勝者と戦いたい」

サウスポー同士の対戦より稀なのは4団体統一戦だ。なかでも122パウンド(55.3kg、スーパーバンタム級)のそれは格別である。ウィルフレド・ゴメス、マルコ・アントニオ・バレラ、エリック・モラレス、そしてマニー・パッキャオと、この階級は偉大なチャンピオンを数多く生んできた。しかし、4団体王座統一を達成したものは未だにいない。

「スーパーバンタム級には未だかつて4団体統一王者になったものはいない。ウズベキスタン出身で4団体統一王者になったものもいない。僕は(男性では)最も速く複数団体で王座に就いた。ボクシング史上(男性では)最速で4団体統一王者になれる可能性もある。このことは僕にとってすべてを意味する」とアフマダリエフは言った。

「100%断言する。もし(タパレス戦)がすべて上手く行けば、僕の次の目標は(フルトン vs. 井上戦の)勝者と対戦することになる。僕はこの階級で最強になりたい。そしてこの試合の勝者こそが僕の次のダンスパートナーに相応しい相手だ。僕は4団体統一王者になりたい」

驚くべきことだが、アフマダリエフ vs. タパレス戦はその日のメインイベントではない。地元のヒーローであり元スーパーフライ級王者のジェシー・ロドリゲスが空位となっているWBO世界フライ級タイトルを賭けてクリスチャン・ヘルナンデスと戦う試合のアンダーカードなのだ。

アフマダリエフ vs. タパレス戦はそのカード順にかかわらず、けっして見逃せないハイレベルの対決になる。その日一番の試合になることはほぼ間違いないし、それどころか年間最高試合の候補にもなるかもしれない。

「多くの場合、年間最高試合には接戦が選ばれる。だから僕は年間最高試合の候補になるよりは、最高のパフォーマンスを発揮する方を選びたい。苦しい戦いをするよりは、そちらの方がずっと良い。僕は達人のような技術を見せつけて、相手を圧倒してみたい」とアフマダリエフは笑みを浮かべた。

アフマダリエフ vs. タパレス戦:放送予定

  • 番組名称:ジェシー・ロドリゲス vs クリスティアン・ゴンサレス / アフマダリエフ vs タパレス
  • 配信媒体:DAZN(DAZNスタンダード、DAZNグローバル)
  • 配信日時:2023年4月9日9:00~

アフマダリエフ vs. タパレスのWBA・IBF世界スーパーバンタム級王座戦およびロドリゲス vs. ヘルナンデスのWBO世界フライ級王座決定戦は、DAZNで独占ライブ配信される。配信は午前9:00スタートとなるが、アフマダリエフの試合は午前11:00頃開始の予定となっている。

この試合を含むDAZNで配信されるボクシング(一部例外あり)は、月額税込980円の『DAZNグローバル』でオトクに視聴可能だ。

※本記事は、英語記事を翻訳後、日本向けの情報等を加えた編集記事となる。

原文:Murodjon Akhmadaliev targets Fulton-Inoue winner for undisputed, primed for Tapalas shootout
翻訳:角谷剛
編集:スポーティングニュース日本版編集部


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Tom Gray joined The Sporting News in 2022 after over a decade at Ring Magazine where he served as managing editor. Tom retains his position on The Ring ratings panel and is a full member of the Boxing Writers Association of America.