バスケ男子日本代表が合宿を公開。ホーバスHC「個人も、チームも成長を」

荒大 Masaru Ara

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練習を終え、円陣を組むバスケットボール男子日本代表

FIBAバスケットボールワールドカップ2023の開幕が迫るなか、日本代表は6月25日(日)から東京で強化合宿を行なっている。メディアに対して公開された練習は30分。速攻を受けたなかでの守備の連携や、ゴール下からアウトサイドへのキックアウトを軸にしたオフェンスの組み立てを反復的にこなしていった。

2月に日本代表での初出場を果たした川真田紘也(滋賀レイクス)や帰化選手のジョシュ・ホーキンソン(信州ブレイブウォリアーズ)など、インサイド陣も所狭しとコートを駆け回った。

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候補選手の絞り込みのポイントは…?

練習を見つめていたトム・ホーバス・ヘッドコーチは、コート上のコミュニケーションを重視。今回の合宿参加メンバーのなかでは最年少の金近廉(千葉ジェッツ。実際には彼より年下のジェイコブス晶も招集されているが、ジェイコブスはU19ワールドカップ出場中のため不在)が声出しに戸惑ったような様子を見せると、「もっと声を出そう」と注文する。

これを受けてか、練習の終盤は、コート上全員がエナジーの高いボディランゲージを見せ、「今のを最低限に」とホーバスHCはさらに付け加えた。

Tom Hovasse, Head Coach of men's basketball national team of Japan
Masaru ARA

その後行なわれた記者会見では、その意図について問われる場面が出てきた。

「トランジションディフェンスには、コミュニケーションが必要です。守る時間がないからこそ、チームルールとして、声を出したり、指さしをしていきます。例えばディフェンダー2人が1人を守りに行ってしまったら、もう大変ですから。金近はまだ若いし、経験がないのもあって、あまり声を出せていないところもありますね」

今回の合宿では、候補選手からの絞り込みも大きなテーマとなっていく。その選定のポイントなどについても質問が飛んだ。

「ポイントガード(PG)がそんなにいないなかで、若いPGの選手を集めて試しましたが、やはり背の小さなPGが3人いては難しいので、体のサイズなども見ているところです。一方、難しいのはシューティングガード(SG)やスモールフォワード(SF)、パワーフォワード(PF)の部分。この後の強化試合や練習試合では、若い選手やギリギリのところで選考を迷っている選手をよく使おうかと考えています」

ホーバスHCが述べたポジションにおいては、渡邊雄太(ブルックリン・ネッツ)や八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)などのNBA組の選考にも関わってくる。この公開練習の翌日に、日本バスケットボール協会(JBA)から八村の欠場が発表されたわけだが、そうした状況が選手起用にも関わってくる可能性にも、ホーバスHCは触れている。

「渡邊と八村は、2人とも合流できるのか、1人しか来ないのか、そういった状況はずっと考えています。例えば1人だけしかこないのなら、ジョシュ・ホーキンソンをセンターにして、渡邊雄太をPF、馬場雄大をSFとして使う可能性もあります。2人とも来られるなら、雄太をSFにできるわけで…まあいろいろ考えていますし、状況については我慢しているところです。例えば、PFについては井上宗一郎と渡邉飛勇を呼んでいます。けど、スタイルは全く違う。渡邊はリバウンドで強みを出せるけど、井上は3ポイントが大事になる。この1か月半のなかで、何が足りていないか、何が必要かを考えて決めます」

この会見では、ワールドカップの初戦となるドイツ戦にフォーカスしている様子が見られた。選手たちにも意識の浸透を狙っているとみられる。

「とにかくみんながステップアップをしないと、ドイツには勝てないです。今朝もドイツのオフェンス、ディフェンスのデータやビデオを見ました。これからもっともっと、1人ずつの力もチームの力も上げないと大変です」

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キャプテンは富樫勇樹「ドイツ戦にピークを」

また、この会見ではキャプテンの人選についてもホーバスHCが明言した。先だって行なわれた富樫勇樹(千葉ジェッツ)の記者会見では「キャプテンについては、まだ何も言われていない」としていたのだが、ホーバスHCは一転、キャプテンを富樫に託したと述べた。

「キャプテンは富樫選手です。(本人は聞いていないと尋ねられると)うそ!? 今朝も言いましたよ。彼がキャプテンですよ」

その富樫は、ドイツ戦に向けた意気込みを、言葉の随所に見せていく。

Yuki Togashi, a player of men's basketball national team of Japan
Masaru ARA

「『ドイツに勝てる』と、全員がまず信じないと何も始まらないという話がありました。しっかり、ドイツに勝つという気持ちを、全員が持った状態で練習に臨みたいところです。ミーティングなどがあったなかで、そこまで深い分析などには進めていませんが、これから徐々にセットプレーなどの練習も進めて行くはずです。ドイツ戦、そこに対してピークを持っていきたいと感じています」

その富樫は、同じ千葉ジェッツに所属する原修太などとともに、5月末のBリーグファイナルを戦った上で今合宿に合流した。コンディションを心配する声に対し、このように答えている。

「僕は、シーズンが終わってからまだ1か月も経っていません。チームのイベントなどもあったので、しっかり休めたのは1週間ぐらいです。そこから合宿に向けてちょっとずつ動き出したわけですが、まだまだ今の状態がすごく良いというわけではありません。ただ、大会そのものは8月なので、このあとの強化試合にピークを持っていく必要はないと思っています。コンディショニングについては、しっかりとコミュニケーションとりながらやっていきたいなと思います」

今回合宿に参加しているメンバーを含め、日本代表はこれから強化試合を多くこなし、いよいよワールドカップに向けたチームの出力を上げていくフェーズへと入っていく。まずは7月8日(土)、9日(日)に静岡県で行なわれるチャイニーズ・タイペイとの試合が試金石となっていくだろう。

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バスケットボール男子日本代表国際強化試合2023 静岡大会直前合宿参加メンバー

No.氏名英字氏名位置身長体重生年月日所属
1比江島慎HIEJIMA, MakotoSG191881990.8.11宇都宮ブレックス
2永吉佑也NAGAYOSHI, YuyaPF1981151991.7.14ライジングゼファー福岡
3須田侑太郎SUDA, YutaroSG190871992.1.3名古屋ダイヤモンドドルフィンズ
4富樫勇樹TOGASHI, YukiPG167651993.7.30千葉ジェッツ
5原修太HARA, ShutaSF187961993.12.17千葉ジェッツ
6ジョシュ・ホーキンソンHAWKINSON, JoshC/PF2081061995.6.23信州ブレイブウォリアーズ
7馬場雄大BABA, YudaiSG195901995.11.7-
8吉井裕鷹YOSHII, HirotakaSF196941998.6.4アルバルク東京
9川真田紘也KAWAMATA, KoyaC2041101998.6.16滋賀レイクス
10テーブス海TOEWS, KaiPG188851998.9.17滋賀レイクス
11渡邉飛勇WATANABE, HughC2071061998.12.23琉球ゴールデンキングス
12西田優大NISHIDA, YudaiSG190901999.3.13シーホース三河
13井上宗一郎INOUE, SoichiroPF2011051999.5.7サンロッカーズ渋谷
14富永啓生TOMINAGA, KeiseiSG188802001.2.1ネブラスカ大学
15河村勇輝KAWAMURA, YukiPG172682001.5.2横浜ビー・コルセアーズ
16金近廉KANECHIKA, RenSF196842003.3.11千葉ジェッツ
17ジェイコブス晶JACOBS, AkiraSG203912004.4.13NBAグローバルアカデミー

※No.=年齢順の番号(背番号にあらず)。

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バスケットボール男子日本代表国際強化試合2023 静岡大会 日本対チャイニーズ・タイペイ 日程・放送予定

第1戦:7月8日(土)15:00試合開始

  • テレビ地上波:日本テレビ系列
  • テレビBS/CS:なし
  • ネット:TVer、バスケットLIVE

第2戦:7月9日(日)14:00試合開始

  • テレビ地上波:テレビ朝日系列
  • テレビBS/CS:なし
  • ネット:TVer、バスケットLIVE

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荒大 Masaru Ara

茨城大学卒。福島県内のテレビ局で報道記者を務めたあと、web編集者を務めた2019年からモータースポーツの取材を行う。2020年に独立後、Bリーグの取材を開始し、現在は記事執筆のほか動画コンテンツの編集などで活動中。